わが家の壁面に痛みが見つかって業者さんと相談したところ、「一度ちゃんと点検した方がよい」ということになり、南面と西面に仮設の足場を組んでもらいました。
業者さんはトラックに足場資材を山ほど積んで朝一番にやってきて、足場を組む真下の位置に資材を置くとどんどん組み始めます。
こうした作業足場、昔はカラマツ林の間伐材でしたが今ではスチール製の規格品で組まれます。手際の良さはさすがのプロですが、これも規格品による作業の効率化が見て取れます。
足場の部材は昔の尺が単位で、二尺(=約60センチ)、三尺(=約90センチ)、六尺=一間(=約1.8メートル)の部品があり、曲がり方や細かな壁の凹凸に合わせてこれらを組み合わせて壁近くで作業ができるように設置されていきます。
こういう足場は縦と横の部材だけで組むとゆらゆら揺れて危ないので、そのために筋交い(=ブレース)と呼ばれる斜め方向に支える部材を使います。
これをちゃんと定められた接合部に差し込んで金づちでカンと締めるともうしっかり固定されるのですが、これを数か所に入れることで揺れが治まってしっかりした足場が出来上がってゆきます。まあ見事なものですなあ。
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職人さんの作業は無駄がなくて、下から部材を上げる人、中間でもらって作業する中継する人、それらを次々に組み立てて固定してゆく人。三人の息もぴったりで見ていてすがすがしくいものです。
するすると足場を上下したり部材を投げ上げてこれをキャッチする、という体のさばき方なんてまるで小学生の時に学校や放課後に鉄棒や公園で遊んでいた動作のよう。決して大人のやるスポーツではなくて、臨機応変に体が反応する運動神経と筋力とスタミナなんだなあ。
運動神経や運動能力って小学校の時に培われて成長とともに筋力やスタミナが備わってきますが、大人になってから使える体にとって基本的な動きや感覚は子供の時の遊びに全て入っていたんだな、と作業を眺めながら幼い時を思い出していました。
我々の世代って、子供の時には本当にランドセルを放り投げて遊びに行ったもんだと思うのですが、翻って、今の子供たちは大人になるための準備として、体を使って汗をかいてちゃんとまじめに遊んでいるのでしょうか。
特定のスポーツに専心するのも良いけれど、多様な遊びの中から総合的に培われる基礎的な体って大事なんですね。
社会は健全な肉体に支えられている。ちょっと心配になってきました。