ある会合の懇親会で知人に会いました。
「今は舗装事業の協会で働いています」と言うと、「あ、そうですか、最近は道路の状況が悪いもんね。頑張ってください」と激励されました。
「そんなに道路がひどいなんて感じますか?」と聞くと、「ええ、今もだいぶ傷んでるなと思いますが、数年前それが大きな社会問題になって、そのときにずいぶん補修をしたと聞きましたよ」としっかり覚えておられました。
そして、「あ、そうだそうだ、そのときに面白い話をカミさんとしたんですよ」とちょっと苦笑い。
「え、なんです?」
「いやね、小松さん、美瑛には行ったことがありますか?」
「ええ、何度も」
「じゃあケンとメリーの木も知ってます?」
「初期のスカイラインのコマーシャルですよね。懐かしいです」
「あのあたりをドライブすると、遠景に十勝岳連邦が見えて、手前には麦や野菜などを植えていてまるで日本じゃなくてヨーロッパの田園地帯にいるような美しい風景が広がっていますよね」
「はい」
「あれって畑作地帯なので連作障害を防ぐために毎年植える作物を変えるんですね。だから今年の風景と昨年の風景は違うものだし来年の風景もまた違う。そんな作物独特のいろどりが茶色だったり緑だったり緑でも色味の違うような緑でなんともカラフルな区画がいくつも組み合わさっています。いろいろな色味の違いが組み合わさっているので"パッチワークの路"とか"パッチワークの丘"とか名づけられて有名な観光スポットになっている」
「目に浮かびますよ」
「フフッ…それを前提にしてくださいね。その昔妻とドライブに行ったときのことですが、途中の道路がとても傷んでいて、穴を塞いでいるんでしょうね、何か所もアスファルトの合材で修繕している跡がありまして。妻がそれを見て、『あなた、これこそパッチワークの道なんじゃないの!』って言って、二人で大笑いをしたことがあったのを思い出しちゃいました」
「修繕跡だらけのパッチワークの道ですか!それはちょっといただけませんねえ」
「北海道はこれから観光と農業で行くんだ、って誰かが言っていましたが、それでは観光客の人たちのおもてなしになるかなあ、って心配です。そんなわけで、小松さん、頑張ってくださいね」
ずいぶん強烈な皮肉を言われてしまいました。インフラのメンテナンスのための先立つ予算も少ない中で何ができるでしょうか。まずは現実を見つめてみます。