録画してあったNHKEテレの「先人たちの底力 知恵泉」を観ていました。
今回は5月31日に放送されたもので、タイトルは「劣勢を覆すには?~石田三成"関ヶ原の戦い"への道」。19万石と弱小大名の石田三成が、250万石を有する徳川家康に挑んで天下分け目の関ヶ原の戦いに挑むことができたその背景を探ります。
結果として徳川との戦いに敗れた石田三成なので、後の徳川幕府中心の歴史からは悪人として罵られ悪しざまに描かれることが多い石田三成ですが、最近はその実像が見直され、清廉潔白の武士として再評価されてきています。
番組の中では、石田三成が多くの大名を動かして豊臣側の味方につけることができたその最大の要因を、「金や地位に執着しない潔癖さが信頼されたのではないか」と分析しています。
三成がまだ若い近習だった頃のエピソード。秀吉が士気を高めるために功あった三成に二千石の褒美を与えようとした時に、三成は「褒美はいらないのでその代わりに大谷吉嗣を取り立ててほしい。必ず豊臣のために役に立つ」と願い出たとのこと。
彼は能力があるのに見いだされることなくくすぶっていた大谷吉嗣を取り立ててもらいましたが、大谷はその恩義から、最後は勝ち目のない関ヶ原の戦いに三成側について奮戦、自害したとされます。
またもう一つのエピソードとして、「三成にはもったいない」と言われた家臣島左近に仕えてくれるようにリクルートをした時の話が語られました。
三成は当時四万石の大名でしたが島に対して「二万石を差し上げるのでぜひ家臣に」と申し入れ、島の心を動かしたといいます。
これらのように地位や財産に対して
番組では総合スーパーチェーン、イトーヨーカドーの元専務取締役塙昭彦さんが招かれていました。この塙さんが現場の労働者の心をつかんだエピソードが心を打ちました。
それは、彼がまだイトーヨーカドーに入社する前の若いころに、タイの建設現場で監督として働いていた時の事。現場でしょっちゅう休む働かない従業員がいるとのことで、(なぜだ?)と様子を見たところ、現場のワイヤーが切れて傷を負いそこからばい菌が体に入って破傷風のようにひどい状態になっていたのだそう。
「これは労災だろう」と言っても当時のタイにはそんな制度もありません。
医者へ連れて行ったところ、「こんな状態の傷を治すには高い抗生物質を使わないといけなくて、それには40万円かかる」と言われたそう。当時の塙さんの給料は10万円足らずだったそうですが、給料を前借りして「とにかくこの子を治してくれ」とやったそう。
すると次第に周りからどんどん人が集まってきて、「こんな良い現場だったら俺たちも働きたい」と。そして治療をしてやった子供の親や家族七人がやってきて、「子供を治してくれたのだから、私たちはこの現場が終わるまで仕事も飯の支度もただで働きます」と言ってくれたんだそう。
つまりは、リーダーはそういうピンチの時に金や地位に恋々とせずにやるべきことをやる。そういう姿を周りはみんな見ていて、それが信頼に繋がっていくのであってそれが人間の心理なのだ、ということでした。
リーダーの心構えというのは歴史が教えてくれますね。
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この放送は5月31日に放送されましたが、時あたかも舛添都知事の政治資金問題がかまびすしくなっていたころです。
地位や金に恋々とせず。リーダーはそういうことができる人なんですね。