建設業にどうやったら人が入ってくれるかということの悩みを語り合いました。
北海道におけるアスファルト舗装の業界では、冬の雪が降る前までは施工の適期ということがあって、雪がいつ降るかということが心配な時期になると土日もなく晴れた日には作業員を繰り出して工事を行うのが通例です。
今では日曜日は公共工事は休むように、という指導があってアスファルトを作るプラントも日曜日は大抵休んでいるのですが、たった週一日の休日では若い人は集まりません。
あるプラント会社社長のAさんは、職員採用で地元の高校へ行った際に進路指導の先生から、「社長さん、今の子供たちは給料の額よりもどれくらい休みがとれるかどうかが、進路決定に重要な要素になっています。どれくらい休みが取れますか?」と聞かれて言葉を失った、と言います。
冬季には気温が低いために舗装の仕事はできないので、そこで夏にとれなかった休みをたっぷりとればいいじゃないか、というのは雇い主側の論理。季節の良い夏の時期に休みが取れない生活というのは若者にはストレスが溜まってしまいます。
そのため今アスファルト製造工場では、月に一度くらいは土曜日を休んで土日の二日間連続する休日環境をつくろうという動きを進めています。
まだ協会員全員がもろ手を挙げて賛成、というわけにはいきませんが、建設に携わる人たちの休日、休暇環境を整えない限り、若い人たちはこの手の会社に就職してくれないという危機感を感じています。
Aさんは、(やはり休暇が大事なのか)と思って、自社の職員に対して「給料より休日の方が大事だと思うか?」と尋ねたそう。すると意に反して返ってきた答えは、「社長、今は子供が大学へ進学していて学費の負担が大きいので、休みより給料を選びます」というものだったそう。
北海道で仕事の少ない冬季には、本州からの求人が多くあって「行きたければ言っても良いよ」と斡旋すると、最近は子育て真っ最中世代を中心に、稼ぎに行きたいという人が増えているのだと。
Aさんは、「休日か給料か、という選択も、若い人なのか家族持ちなのかというような個別事情を勘案しないと一概に決めつけることもできないのだな」と考え込んでしまったそうです。
いずれにしても、休日でも給料でも、建設業に携わる人たちへの待遇が改善しないことには、若年労働者がこの世界を選んではくれることは期待できません。
会社の経営者としても業界団体としても悩ましい問題ですね。