北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

それは子孫への付け回しではないのな

2022-10-25 23:08:12 | Weblog

 

 今日から明日は道東方面の自治体巡り。

「道路維持管理を民間に委託しませんか」というプレゼンをして歩く営業旅です。

 約束したある町では議会議員からオファーがあった事業説明を行い、その足で当局側の担当課長にも議員さんと同じ説明をしてきました。

 さらについでに、地元で除雪を行っている業者さんの組合の事務局長にも会って、担当課長からの話の捕捉ヒアリング。

 面白かったのは、役場側の言う説明では肝心なことが抜け落ちていて、それはやはり除雪の予算が足りないという事実です。

 役場の担当者からはそのあたりの話が聞けなかったのですが、おそらくそこは「除雪の予算の増額を要求しても財政が認めないだろう」というあきらめもあったのかもしれません。

 しかし業界団体の方に伺うと、「その点で話がすれちがうんです」という、まったく違った側面も見えてきました。

 業界団体では、「もう何年も要望していますが、役場の予算は8億円たらずなのですが、我々は『それでは満足な除雪はできませんよ』と言い続けています。我々の要望は12億円なのですが、まったくそこには届かないまま予算が組まれています」と不満を隠しません。

「その状態が続くと今後どうなってゆくと思われますか?」
「役場が求める水準の除雪はできないということでしょうね」

「具体的にはどんなことでしょうか?」
「例えばですが、役場側が『雪が降ったら夜中のうちに除雪を終えて朝には車が通れるようにしてほしい』と求めたとしても、それには答えられず、『バス通りは夜中のうちにやれるけれど、住宅地の除雪は翌日の昼までかかる』ことを認めてほしい、というようなことです」

「それでは市民から不平不満が出るのではないですか?」
「その不平不満を受け止めるのは役場の仕事だと思います。作業している業者が受けるべき話ではないと思っています」

「実際この町では除雪を担う業者さんや担い手は不足する傾向にあるのでしょうか」
「おっしゃるとおりです。この町では町内を5つのブロックに分けて、除雪をやってくれる業者を組み合わせてそれぞれ統括する業者を決めています。しかし年々どこでもオペレーターが減っていき、それは統括する業者さんが何とかして自分のところから担当者をねん出して乗り切っています」

「なるほど」
「今のようにかかるであろう費用をちゃんと用意できないという状態が続けば、中長期的には地元の担い手がどうあがいても集まらないという状態になることを危惧しています」

 結局は予算の問題のように思えますが、必要な予算をちゃんと見ないという事は、やがて担い手不足という管理インフラが弱体化することに繋がりかねません。

 そういう業界というインフラは繊細にケアしなければ、知らず知らずのうちに劣化し使えないものになることでしょう。

 維持管理の力を長期的にもサステナブルな状態にしておかないと、その被害を被るのは今はまだこの世にいない子孫なのかもしれません。

 少しずつ知らず知らずのうちに襲ってくる自分たちの財産の劣化を直視して恐れ、対策をとらなくてはならない、そんな時期が近づいています。
 

コメント
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