政府が構造的な賃上げの実現に向けて、リスキリング(re-skilling=学びなおし)に対する支援方策をまとめるのだそうです。
英語の"re"という接頭辞は「再び」という意味でつかわれることがあり、ここでは「再びスキル(=技術)を身に着ける」ということからリ・スキリングとし、これを労働環境活性化の起爆剤にしたいと考えているとのこと。
ところで政府や岸田総理の話し方からは、しばしば「リスキリングをすることで、人材がより賃金が高くやりがいがある職場へ転職をする」ことを重要に考えていることが伺えます。
ちょっとこのあたりが混乱していて、リスキリングはどちらかというと企業内で所属する人たちが新しい分野への学びを行い、組織のレベルを上げるという事のように思います。
全く違った技術の習得をして転職するということならばそれはこれまで「リカレント教育」と呼ばれていたもので、再度学校に入りなおして新たな能力を開発するということではないか、と思うのです。
リスキリングとこれまでのリカレントとの違いを明らかにしてほしいような気がします。
政策を単なる流行言葉でとらえていて、「もうリカレント教育と言う言い方は古いから、これからはリスキリングと呼ぼう」という単純な発想ならば、そこも含めてちゃんと説明してほしいものです。
またさらにややこしいのは、ネットを見ていると「リスキリング」をしばしば「リスキング」と書いている文章に出会う事です。
恐らくは「リスキング」と言う単語はなくて、「リスキリング」なのだろうな、と思うのですが、カタカナを本来の意味を考えずにそのままありがたく思うとなんだか単語そのものも意味も分からないままに使って平気なような気がします。
外来語でカタカナでそのままイメージが多くの人と共有できて、それを言われればすぐに頭に浮かぶようであればよいでしょう。
しかし最近は分かりにくい単語を持ち出して平気で使うことが多いので困ります。
先日も「会議のアジェンダを決めましょう」と言われ?(アジェンダ?なに?それ?)と戸惑いました。
この場合のアジェンダとは、「会議の日程や議題、議論すべき内容」と言った意味で使われるているのですが、私の中ではまだイメージがポンと頭に浮かばないので困ります。
日本語も新しいものを取り入れながら変化・進化しているのだ、と言う分には構いませんが、言葉が共通の意味として理解されないのだとしたら、その単語はまだ共有の途上で、軽く使わないほうが良いのではないか、と思います。
それともすぐ「ググって」調べるのが現代社会なのでしょうか。