こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

戸田巽探偵小説選I

2007-11-22 00:00:00 | 未分類
戸田巽さんの短編ミステリを収録した『戸田巽探偵小説選I』を読みました。

探偵小説と銘打っているけれど、探偵は出てきません。
殺人事件も、犯罪者側から書かれていたり、謎だけで答えは出てこなかったりで、
肩すかしをくらったような気分になりました。
でも、血なまぐさい殺人現場さえも出てこないので、ミステリ初心者にはもってこいかもしれません。

私が特に気に入っているのは、完全犯罪をもくろんでいながら罠にはまってしまった男の話『第三の証拠』
たちの悪い女に騙された男の話『隣室の殺人』
花柳界の狡猾な女将の話『或る待合での事件』
骨の髄まで悪質な男どもを描いた『出世殺人』
こういう殺人の仕方もあったんだ、と目を見開かされた『三つの炎』
悲しい男の最後を描いた『幻のメリーゴーラウンド』
あれ?このまま行くと全部好きってことになりそうなので、このくらいで。
一番印象的なのは『退院した二人の癲狂患者』でしょうか?

ただ、どれも面白いんだけど、読後感が薄く感じられます。
毒も意外性もあるし、話が二転三転して読者を惑わせる面白さもあるんですけど、なぜでしょう?

明治生まれの人らしく、評論・随筆篇は、気難しく難解な言葉を使いたがる人だな、という印象でした。
あの説明では、純文学と大衆文学の違いがよく解らないんですけど、芸術的な文学って、
どういうものなのでしょうか?一般大衆の私には難解でした。
芸術的なミステリってどういうものなのですか?

コメント
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