九月初めのまだ蒸し暑い夜。
市役所新人職員の村上千秋は、残業中だった。
ちょうど係長のおごりの親子丼が届いたので、給湯室にお茶を入れに行くと、十五センチほどの小さな着物姿のおじさんが『黒田節』を歌いながら踊っていた。
おじさんは槇原伝之丞といい、私財をなげうってこの市に桜化公園を造った人物だった。
しかし昭和二十年後半、当時の市長がそこに清掃工場を建設したため怨霊として現れ、市役所の離れ、つまり現在千秋が勤める建設課のある建物に封印されたのだった。
ひとりぼっちの人にしか見えない小さいおじさんが、金満経営だった長瀬病院のワンマン院長殺人事件の再調査に乗り出すこの物語。
果たして、その真相は?
ミステリ部分も面白いのですが、このおじさんによって意外とひとりぼっちの人が多いことに気づかされ、それが活躍にもつながり、あれよあれよという間もなく大団円になだれ込むサイドストーリーの面白さも読みどころです。
市役所新人職員の村上千秋は、残業中だった。
ちょうど係長のおごりの親子丼が届いたので、給湯室にお茶を入れに行くと、十五センチほどの小さな着物姿のおじさんが『黒田節』を歌いながら踊っていた。
おじさんは槇原伝之丞といい、私財をなげうってこの市に桜化公園を造った人物だった。
しかし昭和二十年後半、当時の市長がそこに清掃工場を建設したため怨霊として現れ、市役所の離れ、つまり現在千秋が勤める建設課のある建物に封印されたのだった。
ひとりぼっちの人にしか見えない小さいおじさんが、金満経営だった長瀬病院のワンマン院長殺人事件の再調査に乗り出すこの物語。
果たして、その真相は?
ミステリ部分も面白いのですが、このおじさんによって意外とひとりぼっちの人が多いことに気づかされ、それが活躍にもつながり、あれよあれよという間もなく大団円になだれ込むサイドストーリーの面白さも読みどころです。