こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『カメリ』北野勇作

2016-11-06 19:32:18 | 読書感想
カメリは、螺旋街の西のはずれにある古いアパルトマンに住む二足歩行型の模造亀である。
勤めているのは、オタマ運河の左岸にあるカフェ。
カウンターの中で泥コーヒーとか泥饅頭を作るのが、主な仕事である。

カメリの同僚は、ネズミ目ヌートリア科ヌートリア擬人体のアン。
赤毛のヌートリアンだから、アンなのだ。

店のマスターは、石頭。
本人は、自分の事を「ほとんどヒト」だと主張しているが、その大きな頭は、まるまるシリコンの塊である。

カフェの常連はヒトデナシたちで、 仕事の前と後、毎日のようにやって来る。

ヒトは、カメリがこの世に生まれるより前にテレビの中に引っ越してしまったらしく、今もカウンターの隅に置かれたテレビの中には、たくさんのヒトが暮らしている。

まず、カメリがその名になった顛末が面白く、というか、いいんですか?カメリ。
まあ、お礼に赤いリボンをもらい、つけるようになったので、無精卵ということからすればいいのかもしれませんが。

その後は、ケーキ屋の行列に並んだり、ハワイ旅行を当てたり、テレビに出たりと、こう書くと、ラッキーなだけでよくあることに思えるかもしれませんが、違います。
カメリは、かなり冒険しているのです。

特に気になるのが「カメリ、テレビに出る」で姿を見るだけだった、もう一匹の模造亀。
もしかして、かめくんでしょうか?

あと「カメリ、海でバカンス」を読むと、海と陸に自意識があるわけで、本当にここは地球の成れの果てなのでしょうか?

頭がクエスチョンマークでいっぱいになるこの世界。
ヒトはいませんが、全てのキャラクターが愛おしくなる、そんな世界です。
コメント
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