こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『さえこ照ラス』友井羊

2016-02-24 19:24:36 | 読書感想
弁護士・阿礼沙英子は、東京でもその有能さで通っていたらしいが、何の事情か沖縄の法テラスで働いている。

そんな彼女が手掛けるのは、交通事故の後遺症で悩むオバアや嫡出子と非嫡出子の相続争いの調停や、『模合』にまつわるトラブルなど、どこにでもありそうで沖縄独特の風土を感じさせるものだった。

最初は、融通のきかないリアリストに見えた沙英子が、度々見せる意外な面に驚かされたり感心したりしながら、その見事な手腕に脱帽することになりました。

面白かったです。
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『怪奇探偵リジ―&クリスタル』山本弘

2016-02-22 19:53:37 | 読書感想
時代は日中戦争の後、ロレッタ・ヤングやジョーン・クロフォードが人気女優として活躍していた時代。
ロサンゼルスのダウンタウンにあるコルト探偵事務所の探偵リジーと助手クリスタルには、特殊能力があり、たびたびそれを活用しては探偵仕事をこなしていた。

彼女たちが手掛ける事件は奇妙な出来事が多く、幻のモンスター映画・ホムンクルス・未来からのタイムトラベラー・異世界の凶暴な生物など、SF大好きな人間には垂涎ものかもしれません。
これ以上、種明かしをすると皆さんの楽しみが無くなってしまうので、この辺で。

何よりも、SF好きにはたまらない登場人物も目白押しだったりしますので、そこもお読み逃しなく。

あと、この結末だと人気次第では続編もありうるかも、と期待させてくれるところも憎らしかったりします。

とっても面白いSFです。
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『少女小説から世界が見える ペリーヌはなぜ英語が話せたか』川端有子

2016-02-21 19:22:51 | 読書感想
「若草物語」「家なき娘」「小公女」「赤毛のアン」「あしながおじさん」などをテキストに、彼女らの物語から見えてくる時代背景を見出した研究書です。

主人公となった少女たちは、大抵が自由奔放でジェンダーフリーの存在だったものが、経験や社会の要請によって、その時代時代の理想の女性像の型にはめられ、そこを安住の地として終わってしまうのですね。
少し寂しさも感じます。

そういや私は「長靴下のピッピ」が「赤毛のアン」よりも好きでした。
幼心に、そういうものを感じていたのでしょうか?

今の少女小説がどのような背景を持つのかも、気になるところです。
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『その時の教室』谷原秋桜子

2016-02-18 19:29:41 | 読書感想
ストーカーに追われて逃げてきた新人女性教師、先輩を死なせてしまった新人教師、学年トップの成績なのに面接で落とされてしまう生徒など、様々な人物がその時を迎え、それでもそれを乗り越えていきます。

ミステリではありますが、そこで終わらず時間は続いていくというところに好感が持てる作品でもあります。

ただ、辛い面もありますので、途中でやめるなとは言えません。
いつかまた、手に取れる日が来るときがあるようにと願います。
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『紙の動物園』ケン・リュウ

2016-02-17 19:52:11 | 読書感想
確かに、この短編集は面白く、素晴らしいと思いました。

中国や台湾と日本及び西欧諸国との文化的・歴史的背景が多分に盛り込まれており、それが興味深くも、重く辛くもあります。と言っても、重いばかりではなく軽い作品もありますので、ご安心を。

「もののあはれ」は日本人が主人公で、深く共感できますが、結末には複雑な気分にさせられました。

「選抜宇宙族の本づくり習性」には、各種異星人の多様な本が紹介されており、楽しませてもらいました。

「円弧」と「波」は、姉妹編と言える作品で、どちらも不死が語られていますが、後者まで行くと神の領域になっちゃいますね。

他にも面白く興味深い作品があるのですが、長くなってしまいますし、読む楽しみを奪いたくはないのでこのくらいで。
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