こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『谷根千ミステリ散歩 中途半端なミステリ散歩』東川篤哉

2021-10-15 20:04:03 | 読書感想
 
谷中の居酒屋『鰯の吾郎』の看板娘(?)女子大生の岩篠つみれが、自宅の手伝いの為にフロアに足を踏み入れると、古びた木製のカウンター席に、一つ年上の先輩、高村沙織さんを見つけた。

彼女が午後三時から、場末の(をいをい)居酒屋でひとり飲みしている理由とは?

先輩からの恋の悩みからの相談をきっかけに、兄の『なめ郎』の親友(?)竹田津優介の助言を聴きに行ったところ、彼女を悩ませた原因に事件性がある事が分かり、なぜかそれ以来、つみれは、次々と事件に出くわす。しかも、事件の真相を突き止めたのは、つみれだという誤解までついてきた。

つみれが出くわした4つの事件から成る短編ミステリです。
そのうち、初めの3編については推理の全てが納得できているのですが、最後の事件に引っかかりを覚えています。
いや、犯人については初めから、ストーリーの流れから何となくコイツかな?と感じたのですが、被害者の行動と犯人との関係性に不自然さを感じたのです。
また、二人の行動から、その関係性に別の可能性もあり得るかな?とも思えたりして。
もちろん素人考えですし、あくまでも勘で論理的に突き詰めて考えていないので、他の方と考えを精査していくと穴だらけだとは思うのです。
本当のミステリマニアなら表にでもして考え抜くのかもしれませんが、いかんせんうっすらとしたミステリ好きに過ぎませんので、この辺りで中止にしたいと思います。
ごめんなさい。
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『きよのお江戸料理日記』秋川滝美

2021-10-12 19:52:18 | 読書感想
 
逢坂で油問屋を営む菱屋五郎次郎とたねの間に生まれた、きよと清五郎。

末っ子で甘やかされて育った清五郎と、畜生腹と言われる双子で生まれ、しかも心中者の生まれ変わりとされる男女の組み合わせだったため、隠して育てられたきよ。

清五郎が十八の時に大きな事件を起こしたため、江戸で料理屋を営む知人で古くからの取引先でもある川口屋源太郎に預けられる事となったが、家の事などやった事も無いとはいえ、奉公に上がるのに女中をつけるのもおかしいので、きよがお目付け役と世話役をかねて一緒に行く事となった。

江戸に来て一年になる文政六年(1823年)師走の七つ半(午後5時)
清五郎が、侍の左側からうっかりぶつかってしまったという。
刀は武士の命、切り捨てられてもおかしくない状況だった。
しかし、たまたまぶどう豆を買いに行くところだと知った侍は、清五郎が見栄を張って自分は料理人だと言ったことから、それならそれを煮た座禅豆を持ってきたら許してくれると言ったようだ。
そこで清五郎は、きよに泣きついて来た。

端から見ると、考え無しの弟と文句を言いつつも助けてあげるしっかりものの姉という組み合わせではあります。
ただ、今回の弟の嘘が、思いがけない姉の人生の転機を呼び込みそうです。
弟自身も、少しずつではありますが自立心が芽生えてきたようで、これからが楽しみです。
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『死なないセレンの昼と夜―世界の終わり、旅する吸血鬼―』早見慎司

2021-10-11 20:02:24 | 読書感想
 
24××年。
世界に突然雨が降らなくなってかれこれ2、3世紀。
海も干上がり、川もほとんどが涸れてしまった。
原因がなんだったのか、誰も知らない。

水不足のため、大規模な発電はできなくなり、文明はほとんど滅び、人々は、わずかな地下水に頼って、残り少ない街や村で生きている。

そんな荒野の続く世界のまっすぐな道を、サイドカーをつけた三輪バイク、いわゆるトライクで渡り、コーヒーの屋台を出しているのがセレン。
設定年齢17歳の少女、吸血鬼だった。

主人公が吸血鬼。
それだけなら普通なので、さほどでもありませんが、各話に出てくる登場人物がとても魅力的でした。

まず、最初に登場したセルゲイがインパクト大です。
大型のタンクローリーの後ろにPA(音響設備)を積んで、爆音でヘビメタを流している気のいいあんちゃん。
まあ、さすがに街中でこれをやられたら頭に来ますが、荒野じゃないですか?
ま、いいかな?と思います。
やっている事の割には素直で、セレンの発言などにも偏見がありませんし。

あと、第三話のお年寄りたちとリヒト、そして第五話の修道女、イルマが特に好きです。

中でもイルマがマシンガンをぶっ放すところ、修道服と機関銃・・・なんて言ったら、早見さんに叱られますかね?

他にも色々とありますが、あまり長々と書くのも読む方が飽きるでしょうしこれくらいで。
とにかく、面白いのでおすすめします。
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『銀獣の集い』廣嶋玲子

2021-10-07 19:49:15 | 読書感想
 
銀獣は、鏡の向こうから持ってきた石の卵に人の血を与えて育てる半人半獣のもの。

ある日、富豪が五人の男女を屋敷に集めて言い渡したのは、一年後にもっとも優れた銀獣を連れてきた者に財産を譲るという事だった。

表題作は、富豪だけでなく、それに乗っかる者も罪深いですよね?
人って色んな意味で弱いから、それを誘発する事をしておいて道を踏み外すのを眺めて楽しむというのは、残酷極まりないです。

二話目の「咎人の灯台」は、美しき魔物にとりつかれているとも言えるヨキが、その妄執から解放されるまでの物語で、結局、彼がどこに行ったのか、想像するのも楽しいかもしれません。

三話目の「茨館の子供達」は、確かに魔女は加害者なのですが、そもそもそのように仕向けたのと、見て見ぬふりをしたのは誰だったか・・・と考えると、複雑な気持ちになります。
結局、子供達が向かったのはどこなのか、また、彼らが何をしたのか、色々想像出来て面白いです。
そうですねえ。単純に、自由になったので親元に戻って幸せに暮らしてもいいですし、逆に、自分たちを見放した親や集落の人々に復讐する事も考えられますよねえ(ニヤリ)

そんな訳で、結末がはっきりしていない分、想像力を駆使して楽しめる短編集でした。
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『湯けむり食事処 ヒソップ亭(2)』秋川滝美

2021-10-03 20:03:24 | 読書感想
 
創業七十年の温泉旅館『猫柳苑』の中にある食事処『ヒソップ亭』
真野章は、前の職場を理不尽に首になったところ、この旅館の主、幼なじみの勝哉夫妻に拾われるような形で店主として迎え入れられた。

前の料理人の死後『猫柳苑』では夕食を出す事が無かったが、しばらく前から再開の話題が彼らの間で話題に上るようになった。
それは、以前の常連客がよそに鞍替えした事への危機感からだったが、勝哉は、ただでさえ章は休めていないのに、この上夕食提供まで章にやらせたら身体が持たないと反対していた。

そこでお試しに、週二日のパートとして料理人の沢木安曇を雇ってみることにした。
彼女が思いがけず、とても有能で客対応も申し分ない事もあって、正社員として雇い、夕食も・・・と思ったのだが・・・。

この物語の中でも、直接には触れられていませんが、コロナウイルスによる不況の影が感じられます。
安曇もせっかくここで料理人らしい仕事ができると張り切っているのに。
ただまあ、救いの神が見えますので、今後に期待ですね?
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