アンドレ・クリュイタンス指揮、ベルリンフィルのベートーヴェン交響曲‘全集’です。
九つの交響曲のほか、「フィデリオ」「エグモント」「プロメテウスの創造物」各序曲まで入ったCD5枚組の本格セット。(フランスEMI版)
二か月ほど前、新宿のタワーレコードで買いました。
全集を買うつもりはありませんでした。昔から名盤として名高いクリュイタンス=ベルリンフィルの田園(ベートーヴェンの交響曲第6番)が欲しかっただけです。
ところが店頭にはその単発CDはなく、同じコンビのこの全集があったのです。
値段を見て驚きました。なんと、セット価850円ではありませんか。CDは1枚でも850円であれば、いわば破格の安売りです。
(このなかの第6番は、はたしてその評価の高い演奏と同じものだろうか?)
という問題意識が、わたしのなかに芽生えました。
(だとすれば、これはすごく得ではないか。ほかの交響曲もいっぺんに手に入る)
店員さんにそのことを聞くと、
「おそらく同じ音源でしょう。EMIは形を変え、何度か発売していますから」
とのことでした。
また値段が安いのはタワーレコードの販売戦略で、同じCDを途中から値下げすることはママあるのだそうです。
同じ音源であったかどうかは別にして、この全集のなかの田園は、わたしにとって大変満足し得るものでした。
雄大で緩みがなく、全体に温かみが感じられます。録音も1960年ごろのものとは信じられないほど良質でした。
前から持っていたスウィトナー=ベルリン・シュターツカペレ盤、カルロス・クライバー=バイエルン国立管弦楽団盤の田園よりも、このクリュイタンス=ベルリンフィル盤のほうがわたしの好みに合います。
まさに期待通りの演奏でした。(他の交響曲、管弦楽曲もすべて最高にすばらしい!)
したがってわたしはこの二か月間、‘田園生活’ を楽しんでいます。