先日、上野の国立西洋美術館で絵はがきを買ってきました。
今はEメールが一般的な時代とはいえ、手紙やはがきも時にはいいものです。
とくにちょっとした礼状には、絵はがきが一番です。
わたしは絵はがきを観光地でよく買いますが、美術館で買うのも好きです。
これまで小布施の北斎館や静岡の芹沢銈介美術館、新発田の蕗谷虹児記念館、酒田の土門拳記念館などでも買いました。
美術館のなかでも、この国立西洋美術館の絵はがきが気に入っています。
たまたま地方に行った時に買うのとは違って、国立西洋美術館は比較的近いので、今回のように思い立てば都心に出た折などにも行くことができます。
ここの売店には、常設展で展示されている世界に名の通った歴史的名画が、きれいな絵はがきになって売られています。
ついでに常設展を見てくれば、一挙両得というわけです。
上の写真にあるのは、モネの「睡蓮」や「舟遊び」、ヘームの「果物籠のある静物」、ミレーの「春(ダフニスとクロエ)」などですが、今回は常設展で初めて見て感動したウィリアム=アドルフ・ブーグローの「少女」も買ってきました。(写真上段真ん中)
「少女」は、そのリアルな質感とみずみずしさがすばらしい。
肌のやわらかさと透き通った目の透明感は、少女がまさにそこに生きているようです。
一瞬の ‘生’ を、無機質のキャンバスに絵の具で表現し永遠に閉じ込めた。そんな感じがしました。
絵はがきとして使って、出してしまうのがもったいないくらいです。
ところで、綾部竹之介という人が明治時代に書いた『立身談片』という本のなかに、
「書状は成るべく短く記すべし、返書は成るべく早く差出すべし」
という、いわば処世訓があります。
比較的手軽に書くことができる絵はがきは、「短く書き、早く出す」のにぴったりですね。
わたしは昔から、まめに手紙やはがきを書くほうではありませんでした。
この『立身談片』を、もっと若いときに読んでおけばよかったなあ。 そうすれば、‘立身出世’したかもしれない。