わが家の菜園では、野菜たちが冬支度を始めている。
エンドウマメはワラの服をまとい、となりの畝ではキャベツが不織布のトンネルにおおわれた。
防寒、防風、防雪、防霜のためである。
ハクサイは葉を束ねた上部を、ハチマキのようにヒモで結んだ。
みずからをみずからの葉でおおう。そして内部に自分で甘みをたくわえる。なんと自立心の高い野菜であることか。
先日、金沢・兼六園で雪吊り作業を始めたというニュースが流れた。
小さいころ雪深い新潟の田舎町で育ったわたしは、冬になると家の軒まわりをおおった「雪囲い」を思い出す。
家の中にいると昼でも暗くなるほどの分厚い雪囲いは、積雪に加え屋根の雪下ろしで軒まで達した大量の重い雪から、戸や窓を守ってくれる。
厳しい冬と闘う実生活の一コマ一コマは、その場を遠く離れてみると、風物詩になったり懐かしい思い出になったりする。
ところで、わたしは10日ほど前から、このところあまりにも寒いので、ステテコからモモヒキ(股引、ズボン下)に替えた。わたしの冬支度である。
これは ‘風物詩’ にはならないか。
2021.11.22