その点でアカデミー賞を争った「グリーンブック」とは対照的。
ジョン・デビッド・ワシントンとアダム・ドライバーと役者たちとするとケミストリーが見せられないわけでちょっと損。代わりにというべきか、レイシストたちの顔つきの悪さがリアルで気持ち悪くなるくらい。
オープニングで「風と共に去りぬ」、さらに「国民の創成」といったアメリカ映画史上の「名作」、少なくともヒット作であり最重要作が引用され、特に後者はKKKの集会で上映されているところを見せて、いかにレイシズムを煽り補強するのに貢献したかを生々しく示す。
というより、「国民の創成」こそがしれまで存在していなかったKKKを生んだのが現実なのだった。
「ビールストリートの恋人たち」の原作者であるジェームズ・ボールドウィンの著作に「映画が私たちをつくった」というのがあって、つまり西部劇はじめ映画こそがアメリカの建国神話を作ってきたのであってその逆ではなく、メディアによって造られた“現実”に見せかけられたイメージの罪深さと責任が追求される。
サスペンスシーンでのスパイク・リーの演出は、やろうと思えばいくらも「娯楽」的に盛り上げられるであろうテクニックの確かさを示すと共に決してそちらの方向には行かない頑固さを手放さない。
シチュエーションとしての喜劇性に関しても同様で、それ自体を追求はしていない。
「ブラック・クランズマン」 - 公式ホームページ
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