音楽映画はずいぶんあるけれど、現代音楽を主軸に据えているのは珍しい。
現代音楽というと奇天烈な演奏法や普通楽器として使わないような物で音を出したり、はっきりしたメロディがなくて不協和音が続いたりといったイメージだし、実際そういう曲がいくつも発表される場面はある。
しかし、特に主人公の井之脇海 が誰もいない(つもりで実は松本穂香が聞いているのだが)ピアノを弾くところで、いわゆるポピュラーな名曲ではないが、良い曲であることがはっきりわかるように描けている。
亡父を挟んだ山崎育三郎と井之脇の兄弟の対立が父親が残したテープの再生からほぐれていくあたりは映画的にもっと盛り上がっていいところ。
こちらはテープの中身の音に今一つ説得力が足りなかった気がする。
ヤボを言うけど川っぺりや中洲にピアノ置いてはまずいですよね。「ピアノ⋅レッスン」みたいにそれ自体強烈な画になっていればいいけれど、そういうわけでもない。画が全体にちょっと軽い。