友人から「あんず」が送られて来た。
嬉しい心遣いである。
早速ひとつ食べてみた。
甘酸っぱい香りが口の中に広がり
採れたてのあんずはとても瑞々しくて美味しかった。
私もネットをするようになって初めて知ったのだが
信州に「日本一のあんずの里」というのがあるらしい。
一目十万本。
4月半ばには一斉に開花して
あたり一面、淡いピンク色に包まれるとか。
文字通り「日本一の桃源郷」である。
季節が変わり初夏を迎える頃にはあんずの実が生る。
ビワよりも一回り大きく、ビワよりもまあるい形の実。
これも心豊かにさせてくれるトパーズ色だ。
あんずは栄養価も高い。
糖分、有機酸、ビタミンA、B1、Cなどが多く含まれていて
疲労回復や食欲増進などに効果的とか。
種の中の杏仁は咳止めやタン切りの妙薬に用いられるとか。
まさに捨てるところのないあんずだ。
頂いたあんずの半分をその日の夜ジャムにして
写真を添付してお礼のメールを入れたら
とても喜んでくださった。
喜んでいるのは私だというのに・・・。
我が家では毎朝必ずヨーグルトを食べる。
そして朝はパン食だ。
ヨーグルトにもパンにも必ずジャムを使う。
いちごやブルーベリー、甘夏のマーマレードは定番。
キウイやマンゴーやカシスのジェリーも時々に・・。
半分のあんずで5瓶ものジャムが出来た。
しかも栄養価抜群のあんずのジャムである。
甘味が増して、けれどすっぱさも適度にあって
本当に美味しいジャムが出来た。
残り4分の1はそのまま頂いた。
そして残り4分の1は今「干しあんず」製作中。
種を取り、皮を下にして一週間ほど太陽にあてて乾かす。
土用干しの今の季節は湿度も低くてちょうどよい。
食べる時に水洗いして
それから熱湯をかけてやわらかくなるまで戻す。
やわらかくなったら水を絞り砂糖をまぶして一日置いておく。
美味しい「干しあんず」の出来上がりだ。
北信濃のあんずは
江戸時代に松代藩主夫人が伊予の宇和島から輿入れの際
故郷の春を忘れぬようにと携えてきた苗木を
城内に植えたのが始まりとされている。
あんずの実の生る今頃の信濃は、避暑地にいいだろう。
けれど私は「日本一のあんずの里」として有名な4月に
素晴らしい桃源郷を観てみたいと思う。
友人の心遣いのあんずが我が家の食卓を彩る。