文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

放送大学:「現代哲学への挑戦」のレポート提出

2014-11-17 18:29:19 | 放送大学関係
現代哲学への挑戦 (放送大学教材)
クリエーター情報なし
放送大学教育振興会


 今日、最後に残っていた放送大学のレポートである、「現代哲学への挑戦」分を投函した。他のものは、webで提出できるのだが、この科目だけは、郵送でないと出せないようになっていた。

 一応、書くのは書いたのだが、どうもこの科目とは相性が悪そうだ。それとも、哲学と相性が悪いのか。正直なところ、書かれていることがたわごとに近いようにしか感じられない。ハイデガー研究で知られた故木田元さんは、著書の中で、哲学は実際の生活には何の役にも立たないと明言されていた。私もその通りだと思うのだが、このテキストには、いかにも哲学は役に立つのだから、みんな哲学しなきゃいかんよというような書き方がされている。例えば、<もはや世界中のどの地域のひとたちも、それ抜きでは何も考えられなくなっている>(テキストp22)といった具合だが、世界中の殆どの人は、哲学なんか抜きにして、物事を考えているんじゃないかな。

 また、ベルクソンという哲学者。お茶の水女子大学名誉教授の土屋賢二さんは、「ツチヤ教授の哲学講義」という著書の中で、ベルクソンの言う時間概念は、<一般の人が従っている規則に反対しているだけ>(哲学講義p68)、すなわち他の人の言葉の使い方に、いちゃもんをつけているだけだと言われているのだが、この教科書では、いかにもすごいことをやったように書かれている。私も、土屋さんの言うことに賛成だ。

 こんな調子だから、試験を受けてもあまり、通る気がしない。この科目は、先学期の積み残し分なので、今回受験しないと受講料が無駄になるので、どうしようかと迷い中だが、今後は、哲学の科目なんか履修するのはやめようと思う。



 

 
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書評:愛の裏側は闇(2)

2014-11-17 18:25:59 | 書評:小説(その他)
愛の裏側は闇(2)
クリエーター情報なし
東京創元社


 政治的にも、宗教的にも混乱が続くシリア。そんな世界に生きる現代版のロミオっとジュリエットを描いた、「愛の裏側は闇」(ラフィク・シュミ:東京創元社)の第2巻。100年に渡る、憎しみの歴史を繰り広げて来た、ムシュターク家とシャヒーン家。そんな歴史に縛られながらも愛し合う、ファリードとラーナ。若い二人の前には、様々な苦難が降りかかる。

 前巻では、両家の因縁が中心だったが、この巻はファリードを中心とした物語となっている。父親により、修道院に入れられたファリードだが、そこは、決して神の使途となることを目指すようなところではなかった。虐待やリンチが横行し、欺瞞と対立に満ちた、閉ざされた虚飾の空間だったのだ。ファリードが友人のアミーンに語った次の言葉は、端的にそのことを表しているだろう。作者の宗教観が垣間見えるようだ。

<修道院で実践しているのは憎しみさ。純粋な憎しみ。イエスは誰も苦しめず、みんなとパンを分かち合った。だけど修道院はみんなを苦しめ、そのせいでみんな、心が折れて、おなじような心ない人間を作りだしている。>(p306)

<修道院にいる仲間がいっていたことがある。教会は神への道を短くするのではなく、長く引き伸ばしているってね。>(同)

 また、この巻でも、前巻に引き続き、性的な描写が目立つ。例えば、ファリードは、ハンマーム(公衆浴場)で、あかすり師に尻を狙われているし、修道院で行われた劇では、ジャンヌダルク役の人妻が、拷問されているはずの場面で、敏感な部分を刺激されてイカされてしまうといった具合だ。そしてどの性的な場面も背徳にまみれている。

 しかし、その一方で、ファリードとラーナの逢瀬は、なぜか綺麗に描かれている。若い二人の愛の語らいは、まるで二匹の子猫がじゃやれあっているようだ。以前、男女の間でやることには、A,B,Cの区分があったが、二人の関係はBまでしか描かれていないのである。修道院では、ラーナのことを夢見て、何度もパンツを汚してしまったファリードのこと。単にそれだけで済んだとは思えないのだが。どろどろとした、性の背徳にまみれた世界で、二人の関係は、まるで泥沼に咲いた蓮の花だ。まわりが汚れているほど、二人の愛の関係はいっそう美しく見える。そういった効果を狙っているのだろうか。

 ロミオとジュリエットの話は、悲劇で終わった。この物語も二人の悲劇で終わりそうな、そんな予感を残して、物語は、最終巻に続いている。

☆☆☆☆

※本記事は、姉妹ブログと同時掲載です。

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