文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

ホーンテッド・キャンパス

2023-08-08 10:10:31 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 このシリーズは、これまで21巻ほど発行され、映画化やコミカライズも行われているという人気作品だ。これはその1巻目にあたる作品。ヒロインは灘こよみという、整いすぎるほどの容姿の美少女。あえて難点を挙げれば、目が悪いためいつも眉間にしわが寄っているというところだろうか。このシリーズの売り上げには、表紙イラストのこよみの可愛らしさもかなり寄与しているように思える。ただし、さすがにイラストのこよみには眉間のしわは描かれてはいないのだが。

 この物語は、彼女の高校時代の先輩に当たる八神森司とこよみとのラブコメを縦糸に、心霊オカルト事件を横糸にして織りなされる心霊オカルトラブコメとでも呼べば良いのだろうか。舞台は、名前からしていかにも北国らしい雪越大学。この大学、モデルは作者の出身地にある新潟大学だろうか。シリーズの中で、医歯学系のキャンパスが分かれているような設定だったことからもそれが伺える。

 1浪したために、大学ではこよみと同級生になった森司(ただしこよみは高校時代からの習慣で、相変わらず八神先輩と呼んでいる)は、こよみが所属しているオカルト研究会(通称オカ研)に入ることになる。このオカ研に、学生たちがオカルティックな話を持ち込んできて、これをオカ研のみんなが解決していくというエピソードを積み重ねながら、森司とこよみが次第にいい関係になっていくというのが基本的な内容だ。

 傍から見ていると、こよみは明らかに森司に好意を持っているのだが、草食系で自分に自信のない森司は、頑なまでに自分の片思いだと思い込んでいる。このちぐはぐさが作品の面白さのひとつでもある。

 オカ研部員には霊を祓う力はない。ただ「視える」だけなのだ。おまけに、オカ研のメンバー5名中、「視える人」は、森司ともうひとり黒沼泉水の二人だけ。それではどうやって霊の起こした事件を解決できるのか。彼らは霊の話を聞いて、霊がこの世にひっかかっている原因を解決していくのである。

 この第1巻に収録されている5つのエピソードをざっと紹介しよう。①引っ越しても、引っ越しても壁に若い女の顔が浮かんでくるという男子学生の話、②繰り返し同じ夢を見るという男子学生の話、③女子学生二人が住み始めた格安のヤバい物件で起きる怪奇現象の話、④自分と同じ容姿の人間を見るという男子学生の話、⑤中学生の妹が、友人自殺以来引きこもりになっているという話といったようなものだ。いずれも、人間の「思い」や「妄念」の哀しさ、怖さを描き出しているような話だ。なかには、怖いのは霊ではなく人間だというようなものも見受けられる。

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする