例のカルテル事件で、当時の役員19人に対し株主が訴訟を起こす方針を固めたという。しかし、これはいささか無茶であると思う。もちろん、株主は基本的にその会社のオーナーである。オーナーから委託を受けた役員が法令違反により会社に損害を与えた場合に訴訟を起こすのは当然のことだ。私も株主の一人であるのでその気持ちはよく分かる。
しかし、全員というのは少しやりすぎだと思う。確かに役員は建前としては経営全般に対して責任を持つことになっている。しかし、一応は業務分掌というものがあり、これに基づいて実際の業務は行われているのだ。取締役会などで議論されたり、報告があったならまだしも、業務分掌外のものは本人に話が行かず、まったく知らないという可能性がある。例えば、技術関係の役員などには全く話がいっていない可能性があるだろう。まさに「寝耳に水」。役員全員がカルテルの話を知っていたならともかく、さすがにまったく知らない人にまで責任を取らせようとするのはどうだろう。