本書は、橋爪さんの詠んだ短歌を集めた歌集である。現代風の短歌がならんでおり、なかなか楽しい。例えば次のような歌だ。
I am a 大丈夫 ゆえ You are a 大丈夫 too 地上絵あげる(p12)
英文が入っている短歌は初めてみたが、面白い試みだと思う。
体裁としては、タイトルの入っている頁は2首、入っていない頁は3首となっている。だから見開き2頁には、5首ないし6首の歌が入っていることになる。
このタイトルは、その部分に収められている短歌からとられているが、「熱帯夜」と言うパートには、その単語が見られない。短歌にそのものずばりのキーワードが入っていることが多い。たとえば「地上絵」と言うパートには、上記の短歌が収録されているが、歌の中に「地上絵」というキーワードが見られる。このように収められている歌のひとつにそのものずばりのキーワードが入っているという訳だ。
しかし幾つか例外がある。「星とカメレオン」と言うタイトルは、次の2つの歌から取られているのだろう。
よせがきに君が小さく描いてあげた舌のくるくるしたカメレオン(p16)
坂道の降りきるまでをつなぐ手でたとえば星も燃やせないこと(p17)
これも原則から言えば変化球だ。「とおざかる星」というパートに収められている歌である。
おそろいのキーホルダーはいつまでも持っててほしい星とおざかる(p84)
お気づきだろうか。最後の言葉をそのものずばり使っている訳ではなく、ひっくり返して使っているのだ。
ただ歌のまとめ方と、パートのタイトルの付け方には異論がある。歌集を編むときは、何らかの意図を持って歌を纏めるはずである。そしてその纏めた意図に相応しいタイトルをつけるのだ。しかし、何度読み直しても、そのパートに収められた歌からは、タイトルの意図が感じられない。もし私の読解力不足ならご容赦を。
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