部屋の隅から、大分昔に買ったものがひょっこり出てきた。本書である。この本は、副題の通り、PERTとCPMについて解説したものだ。PERTとは、Program Evaluation and Review Techniqueの略であり、CPMとは、Critical Path Methodの略である。元々PERTとCPMは別個に開発されたものだが、これらは相性が非常にいいので、一体として考えた方が合理的である。
皆さんは工程管理で棒グラフのようなものが使われているのを見かけたことはないだろうか。これはガントチャートと言われ、今でもよく使われている。ガントチャートが各工程を棒グラフで表すのに対してPERTでは矢印のネットワークとして表す。この工程を始めるためには、どの工程が終わっていなければならないかなどが一目で分かる。CPMとは、どの工程がクリティカルで余裕がないのかを見定め、全体の工程を送れないようにしようというものである。
実はこれらはもう半世紀以上も前に開発されており、その有用性はずっと叫ばれているのだが、ガントチャートを駆逐するほど普及しているようには思えない(私が知らないだけかも知れないが)。ただOR(オペレーションズ・リサーチ)の教科書には載っていることが多い。ただ本書のように一冊丸ごと解説されているようなものは少ないだろう。
PERT自体はそう難しいものではないので、本書を読めば使えるようになるだろう。ただ工程における工期の見積もりなどは、ある程度の経験がないと難しいかもしれない。本書は、1965年に出たものだが、まだ絶版にはなっておらず、普通に売られているようなので結構なベスト&ロングセラーだろう。
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※初出は、「風竜胆の書評」です。