ここで言う系統樹とは、そもそもの由来を図で表したものだ。「樹」という言葉が入っているように、「ツリー」状に書かれることが多い。つまり色々な多様性を系譜関係によって体系化し、整理するものである。
「系統樹思考」とは、「進化」の過程を見る視点を与えるものだ。ただし、この進化は生物に限ったものではない。本書にも例が出てくるが、書体の進化なども系統樹として纏められるのである。
物事を整理するためには、2つの視点がある。一つは本書に述べるような「系統樹思考」だが、もう一つは、分類思考と呼ばれるものだ。その違いは、前者が対象物の系譜関係に基づいて体系化するのに対して、後者は対象物そのものをカテゴリー化するということである。
著者は農学部出身で、生物系の研究者ということから、生物での適用例が多いが、考え方はビジネスなどにも応用できると思う。ただ、残念なことに、私には非常に読みにくいのだ。これは自分の興味の方向や問題意識の在り方とも関係してくるのかもしれないが、一度読んだだけでは、すらすらと頭に入ってこないのである。もっと簡潔に分かりやすく書けないものだろうか。
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※初出は、「風竜胆の書評」です。