ベスト珍書 - このヘンな本がすごい! (中公新書ラクレ) | |
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中央公論新社 |
我が国で発行された、よりすぐりの奇書、珍書を紹介したという、「ベスト珍書 - このヘンな本がすごい!」(ハマザキカク:中公新書ラクレ)。私も、「ヘンな本」は決して嫌いではないので、副題の「ヘンな本」という言葉に魅かれてつい買ってしまったのだが、残念ながら思っていた物とは少し違っていた。
確かに、紹介されているのは、奇天烈な本ばかり。例えば、ゲロの写真集、動物のうんこを集めた図鑑、心霊特集でよく出てくる「オーブ」だけを集めた写真集、円周率πを100万ケタ載せた本、性病に罹った男女の性器を無修正で掲載している本、妹と風呂に入る方法を記した本など。
著者はこの本を書くために、2000年まで遡って、日本で出版された約100万冊の本をすべてチェックしたという。そうして、1万冊ほどの第一候補を選び、数千冊の本を実際に手に取り、その中で、これはと思ったものをじっくりと選んだ結果が、本書で紹介されている100冊だということらしい。読みも読んだりといった観があるが、その執念は、脱帽に値するだろう。
しかし、残念なことに、「ヘンな本」好きの私でも、読んでみたいという本がほとんどない。 「ヘンな本」には、どこか愛嬌がなくてはならないというのが私の持論だ。その本の作者は意図していなかったかもしれないが、読み手から見れば、にやりとしながら突っ込んでしまうようなところがある。これが「ヘンな本」の魅力なのだ。もちろん、本である以上、内容もそれなりに楽しくなくてはならない。
正統派の「ヘンな本」は、あまりにマニアックな内容だったり、単なるエロ、グロ本や、奇をてらっただけの本とは、一線を画す存在なのだ。これがなくては、いくら奇書、珍書でも、単なるアホ本でしかない。 ゲロを写した写真集を眺めていて、どこが楽しいのか。妹と風呂に入りたいなんて、せいぜい2次元世界での妄想だろう。
最後に残ったのは、「こんな変わった本を書いたり読んだりと、世の中には、いろいろな人もいるもんだ」という感想だけだ。
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