この作品を一言で表せば、白坂中学2年生の細村千恵を主人公にした、スポコン少女バレーボール漫画だ。1968年から集英社の少女漫画月刊誌「りぼん」に連載されたらしい。不運なのは、同じ年からやはり集英社の「週刊マーガレット」で「アタックNo.1」の連載が始まったことだろう。こちらは、テレビアニメにもなって、何度か再放送もされたので、記憶に残っているが、井出さんの「ビバ!バレーボール」については、今回初めて知った。
読んでみると、さすがは昭和のスポコン漫画。今の基準で考えると、ツッコミどころ満載なのだ。まず絵柄がいかにも昭和の少女漫画という感じだ。そうお目目ぱっちりなのである。頭身もおかしい。コマによって違うが、4頭身台で描かれていることが多いのだ。小さい子ならともかく、中学生でこの頭身はありえないだろう。おまけに、シゴキ在り、体罰あり、試合中に対戦相手との乱闘ありなのだ(p286)。今だったらコーチは一遍にクビ、チームは廃部といったところだろうが、何かの処分をされた形跡がないのである。
それに、中学生の部活でキャプテンがなんかすごく立派なのだが、中学3年生である。高校に進学すれば1年生で、もし部活に入れば新入部員になってしまう。もちろん実力主義のところなら、1年でも活躍できるだろうが、「3年神様、2年平民、1年奴隷」といった体質のところなら、扱いががらりと変わってしまうのである。
それに、最初の頃は色々あったが、結局は千恵と並ぶ主力選手になった浜京子。父親の都合で関西に転校したが、その関西というのが岡山県の倉敷市。そりゃ、超広義には、西日本は関西ということになるだろうが、今時誰もそんな分類はしない。普通は京阪神を関西と呼び、ほぼ近畿と同義で使うのではないか。倉敷市には私も住んだことがあるが、言葉もいわゆる関西弁とは違うし(言葉だけなら四国徳島なんかの方がよほど関西弁に近い)、岡山県人は自分たちを関西人とは思っていないと思う。(いちいち確かめたわけではないが、広島も山口も自分たちを関西人とは思っていないことから類推)ただし岡山市には関西高等学校というのがある。(ただし今の読み方はかんさいではなくかんぜい。昔はかんさいという読み方もつかわれていたようだ。)
そして京子が新幹線で立つとき、知恵は新幹線にすがりつくようにして分かれている。いやこの状態で新幹線が走り出すなんて、ものすごく危ないと思うのだが。
どうも調べてみるとこの作品、結構波乱万丈のようだ。1巻でもその片鱗が出ており、千恵は失明の危機に。さてさて、この後どのような展開になるのだろう。
☆☆☆