晴れ、14度、77%
寒くなると、和風の煮物が食卓に上がることが多くなります。お大根なんて最高に美味しい季節です。主人が日本の出張で成田から戻って来るときは、新鮮な野菜を空港で買って来てくれます。お野菜だけの夕飯です。里芋なんて、ヌルヌルが一杯で香港の里芋とは違います。煮崩れも少なく、ほっこり甘い里芋。太ネギも芯からネギの香りが甘みと上ってきます。小松菜なんて、さっと煮浸しただけなのにほろ苦さが堪らない。細い細いごぼうはささがきにすると、そのまま生でも食べれそう。こんなにごぼうの香りが豊かなごぼうは久しぶりです。おカブなんぞは皮を厚めにむいて、おカブの皮のお味噌汁、これまた絶品です。
日本に住んでいると、そんなことに気付かずに生活していたと思います。久しぶりに食べるおいしい野菜に、日本を感じ、日本の土や空気を懐かしみます。こう考えると、まんざら海外に住むのも悪いことではありません。日本のほんとにいいところが見えてきます。おそらく、海外でも香港は日本人にとって住み易い街の一つです。今やなんでも日本のものが手に入ります。それなのに、お野菜一つで大感激をします。
さて、野菜を並べて料理にかかると、まずはだしを何にするか考えます。煮干し、昆布、かつおぶし。それに昨年はあちこちから焼きあごの出汁パックを頂戴しました。九州北部だけの焼きあごの出汁かと思っていたのですが、北陸産のまであります。焼きあごの出汁、もし見かけたら使ってみてください。出汁パックは、使い易くこの味にハマること請け合います。出汁が決まれば次は味付け。濃い口醬油と砂糖の組み合わせか淡口醬油とみりんの組み合わせか?どちらにしましょうか?
肉じゃがは定番お砂糖に濃い口醬油ですが、ジャガイモがほっこりしていそうなときは、みりんと薄口醤油で味を付けると同じ肉ジャガでないようなお味になります。高野豆腐や湯葉は、薄口にみりんと決めてます。野菜を炊く時は野菜に聞いてみないと分かりません。冬のお大根を優しい味に仕上げたいときは、やっぱりみりんと淡口醬油を少し。お砂糖は、甘みを足したい時にしか使わなくなってきました。野菜本来の甘みを生かしたいときは、お砂糖を加えると大事な旨味が隠れてしまいそうです。
野菜の皮むきながら、野菜に尋ねます。カボチャなどはこの違いが一番出る野菜です。ほんとにいいカボチャに出会ったら、お砂糖はいりません。少しの淡口醬油だけで甘みがぐっと引き立ちます。
20年以上前の香港、売られている醤油は1種類、薄口もヒガシマルしか売られていませんでした。今では日本並みにお醤油やお味噌が選べます。フンドーキンの薄口にかつおぶしの小さな塊を入れたキッコーマンの減塩醬油、この2つが今の我が家のお醤油です。
日本にいれば、気付かずにいたかもしれないお野菜本来の旨味、出来るだけ損なうことなく食べてやろうと思います。