晴れ、13度、47%
毎晩ワインを頂きます。ワインのことについては云々いう程詳しくもありません。ただ美味しく頂いています。私の毎晩の食器洗いの中には、そんわけで、必ずワイングラスがあります。ワイングラスを洗って、拭いて、食器棚になおすと、その日一日の私の仕事が終わります。
いったい幾つのワイングラスを割ってきたでしょう。その度に心が痛みました。最近は割れるものと割り切っています。割り切ってはいるのですが、グラスの置き場に隙間が出来ると、寂しくなります。
毎晩使うワイングラスは、そんなにいいグラスではありません。というか、ペアで買ったり頂いたグラスのうち片方が欠けたものを使っています。ウォーターフォードやアレッシー。ワイン好きな方はご存知でしょうが、ワインは、グラスによって味や香りが違ってきます。薄いバルーン状のワイングラスで飲むワインは、あの膨らみの中でより香りを増して口元に運ばれてきます。グラスを傾けも、すぐに唇には届かない大きさです。その間、まろやかなワインの香りが鼻をくすぐります。そして透かしてみえる赤い色合いに暖かさを覚えます。
数揃えている幾つかのワイングラス、客事用に求めたわけではありません。ディーデルの薄いバルーンもクリストフルのカットグラスもスチュワートの白ワイン用のグラスも、好きで、毎日でも使いたくて買い求めたものばかりです。それなのに、欠ける割れるを恐れて、最近では、客事にしか使わなくなりました。6客色違いで揃えた見出し写真のクリストフルのワイングラスを随分以前に欠いたことがありました。唇に触れる縁をほんのちょっぴり欠いただけでしたが、使い物になりません。私にしては珍しく、このワイングラスだけは一度に求めずに、2客ずつ、3回に分けて買いました。買った当初でもかなりの値段のものでした。欠いた2客を買い替える時もまた、エイッとばかりの買い物でした。
そんな経験があるから、普段使いしないのかもしれません。でも、使うために、楽しむために買い揃えたグラスです。ワイングラスだけを仕舞ってある食器棚まであります。その中を覗きながら思います。やっぱり使わないと。いいワインはもちろんいいグラスで楽しみますが、私が毎晩頂くようなそこそこのワインでも、いいグラスが持って来てくれるおまけの美味しさがあります。いいワイングラスで飲むと、そこそこのワインが、2ランクぐらい跳ね上がってくれます。
一時期、ビストロ風にヂュラレックスの水を飲むようなグラスでワインを飲むのが流行ったことがありました。大勢で、わいわいやる時にはもってこいのグラスですが、ゆっくりと、食事を楽しみながらのワインには、ステムのついたワイングラスが格好です。
今晩は、フワッと炊いたお大根で赤ワインを。さて、どのワイングラスを合わせましょうか。