曇、15度、81%
毎日毎日、座ってチクチク。クリスマス、年末、お正月、どんなに忙しくても、暇を見つけてチクチク。とにかく先が見えて来たこの1週間は、時間が欲しいと、思い続けていました。
昨日の夕方、一番最後に取って置いた目を入れて、やっと刺し終えました。アイロンをかけて、早速、20年来の付き合いの額屋さんに持ち込みました。
出来上がりサイズは38センチの49センチ、これより大きいものも刺してきましたが、大きさではなく期日がある刺しものは久しぶりです。日本帰国の記念にと友人たちに刺して贈りました。それ以外は、自分用。私自身のために刺した立ち雛は、おそらくサイズにすると今回のものより大きいかと思います。でも期日制限なしですから、ゆっくりと1年かけて刺した覚えがあります。しかも、ここ2年は眼鏡のお世話になり始め、夜は針を持ちません。ですから、実際に刺し始めたのは9月でした。そんなに用意万端にしていたのに、読みたい本に出会って、3冊も続けざまに読んでしまいました。それに、日本の家に送り返す荷物造り、相変わらず2月に1度は日本に向かいます。全部、言い訳です。そろそろ、時間制限一杯となった、12月の11日、ドンと座ってチクチク開始です。
小さな目の麻の布に刺すこのクロスステッチは、刺す人の目の善し悪しで、スピードが違ってきます。とはいっても、30年以上も刺し続けて来たこの刺繍、ある程度の勘は持っているつもりです。しかも、集中すると端で見ている人もびっくりする程手が早いそうです。このデンマークのクロスステッチを刺したことがある方はお分かり頂けると思いますが、9つの穴でひとますと考えて刺します。刺し始めると9点のますが見えて来るのですが、穴一つ違うと、どこかで合わなくなり始めます。どこで穴一つ刺し間違ったか、そこからやり直しです。何度糸を切ったことやら。間違う日には幾度も間違います。
模様の込み入ったところでは、目数を数えるのすら息を殺して数えます。膝の上のモモさんに、動かないで、と言うのもこういうときです。大事なところを刺している時に限って、モモさん、大あくびをして起きてきます。顔なんか上げたら目でも刺しかねません。寝てなさい。
随分昔、やはり大作を刺していました。その時、知人のポネラリアンを一時帰国の間預かっていました。ちょっと刺してる手を止めて立った隙に、そのポメさん、私の刺繍におしっこを掛けました。ショックで刺し続けることが出来なくて、なおし込んだことがあります。数ヶ月後、気を取り直して刺し続けました。今見ても、そのおしっこのシミがうっすらと見えます。
今回も、終わりが近付いて来て思ったのは、これは好きでないと刺せないということです。しかも大きな作品は、肩、腰、肘にも負担がかかります。寝る前にバンテリンを塗るのは欠かしませんでした。座ってる間の姿勢も注意していました。おかげで痛みが出ることもなく刺し終えました。やれやれ。
この1週間は、10分程の市場やスーパーに買い物に行くのも億劫です。とにかく刺したい。主人には随分迷惑を掛けました。モモさんも夕方のお散歩の時間、もう少し待ってね、と我慢をさせました。
額装が出来ると、もう一度お見せします。親しい額屋の彼女と考えて考えて、いつもの私が作る額とは随分違ったものが出来て来ると思います。後1週間で仕上がるはずです。大きな木枠から外したばかりの、今回の刺繍です。