晴れ,27度、90%
大きな大きな大納言を頂いたのは春先のことでした。大納言は小豆の中でも大きいものを言います。普通見る大納言よりまだ大きな大納言です。京都の与謝郡の薦池村で作られているのだそうです。生産量が少なく一般市場では売られていない貴重なお豆です。さて、何を作ろうか、あんこにするにはもったいない色形。小豆の形をそのままお見せしたい、という訳でお赤飯に使う事にしました。
我が家のお赤飯、必ず蒸して作ります。しかも餅米だけです。この大納言の茹で汁に餅米を一晩漬けて色を付けます。お赤飯に向くささげという種類の小豆は、皮が破れ難くあのお赤飯独特のいい色がつきます。この大納言の茹で汁の色はやや暗めの小豆色です。一晩置いた餅米と小豆を合わせて蒸すこと20分。 小豆の香りと餅米の香りが台所に立ち込めます。大きな小豆ですからちゃんと火が通っているか、一口ポイ。なんとも濃厚な小豆の味がします。皮も破れることなく艶々です。
このお赤飯、主人の還暦のお祝いに作りました。お赤飯の出現には主人も意表をつかれた様子です。立派な小豆がいっぱい入ったお赤飯、主人も私も小豆とご飯別々に食べていました。普通のお赤飯なら小豆とご飯一緒に口に入れるのに、小豆をお箸でつまんでは口に運びます。この大納言、大きいのでご飯と一体化しないようです。食べながら、「おぜんざいにすれば良かったね。」と話しました。それにしても立派な小豆です。
お赤飯をもっと大きな花豆で作る地方も金時豆で作る地方もあると聞きます。一番びっくりしたのは北海道の甘納豆のお赤飯です。お豆を炊く必要がなく蒸す時に甘納豆を入れて作ってみました。おっかなびっくりで口に入れたら、フンワリした甘さが後を引きます。
1日、15日には家族の健康を祈ってお赤飯を炊く家も以前にはありました。女の子のお印が来るとお赤飯で祝ったものです。祝い事がある時はお赤飯を和菓子屋さんに注文しました。私の母はお赤飯を作った事がないかもしれません。
うっすらと塩味に作ったこのお赤飯、噛めば噛むほど美味しく感じました。おごちそう様でした。