曇り、25度、85%
南洋の果物が日本の果物屋の店頭に並んでいることが多くなりました。以前はマンゴーなんて輸入物ばかりでしたのに、流石日本人、おいしいマンゴーを日本で作っています。お値段を聞いてびっくりしました。果物の値段ではありません。でもそこは日本の農家が作るものです、工夫を凝らし手間暇かけて作っている物に違いありません。
南洋の果物の王様は、「ドリアン」といわれています。カスタードクリームのような口当たりですがその香りたるや強烈です。殆どの方が臭いとおっしゃいます。大きなイガイガの殻中にクリーム色の実が詰まっています。初夏になるとここ香港にもタイから運ばれて来ます。私は好物ですが、主人は余程のことがない限り手を付けません。
「ドリアン」もラグビーボールを二周り程大きくした実です。よく似ていますが、イガイガが無いツルッとした皮の果物が時に香港の果物屋に置かれます。「ジャックフルーツ」です。日本では「パラミツ」と呼ぶそうです。中には山吹色をした小さな実がびっしりと詰まっていて、お菓子のような甘い香りがします。よく熟れている物はジューシーでとても甘い汁が口に拡がります。この「ジャックフルーツ」も「ドリアン」も大きな果物ですから、中の実を切り売りしています。
「ジャックフルーツ」もタイやベトナムから入って来る物だと思い込んでいました。それが昨年のちょうど今頃、「アラ!ジャックフルーツだ。」となんと毎日走る道際にその実を見つけました。暗いうちに走りますから、他の人が見上げていなかったら気が付かなかったと思います。「取らないように。」と書かれた紙がぶら下げられていました。一度見つけると、毎朝、その木を見上げます。日に日に大きな実になりました。ぱかっと口が割れるのかなと思っていると、ある日突然姿が見えなくなりました。きっと誰かが取って行ったに違いありません。
今年も春先からこの「ジャックフルーツ」の木を見上げますが、何処にも実のなる様子はありません。ところがある日急に実が3つ程出現しました。これまたすごい勢いで大きくなっています。昨年は2こでしたが、今年は3こ。木の幹からブラリと実が付きます。
この木がある道は車が通りません。こんもりとした森のような道です。もっと南の果物とばかり思っていた「ジャックフルーツ」を間近で毎日その成長ぶりを見ています。きっと、今年も誰かがこっそりとこの実をもいで行くのでしょう。店先に並んでいる「ジャックフルーツ」とは違って、木に生っている様子はなんだか滑稽です。