雨、22度、90%
本帰国が決まって、密かに楽しみにしていたことがありました。映画です。香港ではもちろん香港映画、中国映画、ハリウッド映画、韓国映画、日本映画が主流です。ハリウッド映画はアメリカと同じ日に封切られます。ところが小品の映画やヨーロッパ映画などは、よほど話題がない限り見ることができません。日本に帰ればそんな映画を見ることができると思っていました。
昭和30年代始めに生まれた私が育ったこの福岡は、小さい頃は至る所に映画館がありました。身近な映画館は「松竹」「東宝」「東映」で邦画がかかります。繁華街の「スカラ座」や「朝日会館」に行けば洋画が見られました。小さい頃からタバコの煙の中よく映画を観たものです。日本はいつ頃からか大型映画館ができて、小さな映画館が締まっていきました。それは香港も同じ状態です。歩いて行ける映画館はなくなり、映画館の数も減りました。
新聞に小さく載る映画情報、どれもこれも邦画です。洋画の数が圧倒的に少ない。しかも洋画が題名を日本語に置きなおすので、原題で探しても見つかりません。福岡ではいい洋画が観れないのかとがっかりしていました。先日、福岡の中心、天神の海寄りを車で走っていると、 あれ、映画館です。小さな映画館です。出てるポスターは全部洋画です。ホッとしました。これで洋画を見ることができそうです。
昨日は、イザベル ユベール主演のフランス映画「ELLE」を観に行きました。月曜日のお昼過ぎです。人が少ないかと思えばすでに行列ができていました。この映画館、4本の映画を2つの劇場で上映時間を回しながらやっています。 小さな劇場です。
「ELLE」はイザベル ユベールがゴールデングローブ賞などを獲った作品です。ストーリーはレイプされる場面から始まり、主人公ミッシェルの子供の頃の記憶がフラッシュバックするスリリングな話です。ミッシェルの母親、友人も含めフランスならではの男と女の関係が描かれています。言うまでもなく、イザベル ユベールの演技は見事でした。
小さな映画館、心地の良いシート、洋画ばかり。しばらくこの映画館に通い詰めそうです。