曇、20度、68%
香港に戻って来たのは、知人の結婚式に出席するためでした。式はカトリック式で行われます。新郎も新婦も敬虔な信者です。教会はやや中国寄りの田舎町、お式は欠席して夜の披露宴だけに出ることにしました。新郎新婦共に50歳を過ぎての結婚です。
披露宴の始まる時間は8時、中国式ですからそれまでの時間は麻雀をして時間を潰します。ご親戚、友人、教会の方達、200席ほどの円卓が気がつけば満席です。この披露宴は中華のレストラン、披露宴専門のお店でした。テーブルに置かれたメニューには披露宴らしい料理の名前がつけられています。 断っておきますが、一品一品はそれほど高級なものではありませんでした。
子豚の丸焼きです。生後8ヶ月の子豚を使います。目には赤い電球を入れてこれを灯して会場を暗くして子豚の丸焼きから料理は始まります。子豚の丸焼きは皮を食べる料理です。パリパリの皮の下は美味しい脂です。
こういう宴会の料理の時は、給仕の方が切り分けてくれます。 お次はエビとホタテを緑の野菜と炒めたものです。
丸々としたカニの爪。魚のすり身で太らされたカニの爪です。糸瓜という長い瓜があります。淡白な瓜です。その瓜の真ん中にホタテを詰めて蒸しあげてのがこちら。
フカヒレが香港で禁止されて幾年か経ちます。披露宴のメインディッシュだったフカヒレスープは消えて無くなりました。よく似た感触のゼラチン質の筋とエビカニを合わせたスープです。 本物のフカヒレのスープは大好物で、主人がどこに行っても頼んでくれました。おかげでフカヒレが禁止される前に「フカヒレのスープはもういらない。」と言うまでになっていました。
大きなアワビでなくトコブシの煮込みです。アワビとナマコの煮込み、これはいくら食べても大好きなものの一つです。クライマックスはこちら、
クエの蒸し物。「これが食べたかったのよ。」このクエのヒレの部分のお肉は全部私のお腹に入りました。最後はチャーハン、チャーミン。私にはチャーハン。
デザートは銀木犀のゼリーと昔ながらの蓮の実が入ったあずきのしるこです。
お祝いの意味を持つ「陳年」の陳皮で香りがつけられています。
昨晩もフルコース最後までしっかりいただきました。
新婦とは15年以上のお付き合いです。もう結婚はしないのだろうと彼女の老後のことを主人は気にかけていました。「結婚式に出てください。」と送られて来た手紙に私がエイっと腰をあげた理由がお分かりいただけたと思います。しばらくぶりに会う彼女、披露宴の壇上で私と抱擁です。華奢な彼女はウェディングドレスがよく似合っていました。「おめでとう、ノーベンさん。」
夜半近い帰りのタクシーの中、「本当に美味しかったの?」と主人が聞きます。お料理のレベルは分かっています。嬉しい結婚式、飢えていた中華料理、美味しかったに決まってますよ。