晴、3度、89%
お正月を一人で迎えることになるとわかってまず頭に浮かんだことが2つ。一つが大掃除が思う存分できる、もう一つが三が日のうちにきものを着よう。この2つでした。
きものを日本に送り返したのは2弾目の引越し荷物でしたから2年以上前のことです。この2年間、一、二度開けて見ただけでずっとタンスの中でした。夏にはあの暑さでしたから着る気も起きません。着るといってもどこに行くわけではなくこの家できものを着てみたいと思ったのです。
きものといってもいい物など一つも持ちません。自分が働いたお金で全部揃えたものです。そう思うと可愛くて仕方がありません。しかも訪問着とかではなく全部普段着といわれるものばかりです。お正月ですから薄緑色の結城をと思ったのですが、一番好きな麻の葉の織り込まれた紫に近い墨色の結城を出してきました。帯だけは少し華やかに染めの帯です。
3日目の昨日、午前中に義母の病院行きも済ませて急ぎ家に戻りました。用意しておいた着物に何年ぶりかに袖を通します。「着られるかしら?」と一瞬頭をよぎりましたが、下着を整え始めると自然に手が動きます。
きものは帯の幅のおかげで、背中がしゃんと伸びます。絹物の暖かさに包まれて、気持ちが高揚しているのを感じます。下着も絹物、その上当て物もしますから寒さを感じません。鏡の前に立つと半襟の白さが好もしく映ります。夕方、ココさんとお散歩に出るまでの数時間、心ゆくまできものの感触を楽しみました。