マリヤンカ mariyanka

日常のつれづれ、身の回りの自然や風景写真。音楽や映画や読書日記。手づくり作品の展示など。

『螺旋』サンティアーゴ・パハーレス

2012-04-07 | book
このところアメリカの小説から離れて、最近書かれたヨーロッパ各地の小説を、よく読んでいます。
次々と面白い本に出会えて嬉しい悲鳴を上げています。
図書館に予約した本が届いて、自転車のかごにどっさり積んで帰る時は思わずニンマリしてしまいます。
足を使って歩くのも、実際に色々な物を目で見るのも大切だし、美味しい物を食べるのも楽しい。
でも本を読んで物語の世界に入り込んでさまようことは、私にとって欠かすことができない心の栄養素です。

『螺旋』はスペインの小説、
ゴヤやピカソ、ミロ、ダリ、ガウディ、カザルスら天才には事欠かないスペインですが、
この小説に出て来る登場人物はとても身近な感じがします。

小説の舞台、スペインの田舎の雰囲気も魅力的です。
主人公は一つの謎を解明するべく社長から命令され田舎にやってきた編集者、
あちこちに気を使いながら一生懸命働くものの謎は深まるばかり。
彼の周りでいくつもの物語が展開します。
同時に進行するのは都会で麻薬中毒のどん底からからなんとか這い上がろうとする青年の物語。
そして彼の優しい友人はIT会社から寝る時間も無いほどこき使われています。
もちろん強くてかっこいい女性もでてきます。
それらの登場人物が皆、誠実で、生き生きとしています。

物語の楽しさ、本を読む喜びをたっぷり味わせてくれる私好みの小説でした。

エンターテイメントと純文学の境目はもうないな、と感じました。
ただ、モノクロのような表紙の絵が納得いきません。
私には中身の印象と全然違うのですが…

『螺旋』サンティアーゴ・パハーレス   木村榮一訳   2010   ヴィレッジブックス





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