昨日のこと。
電車、私鉄からJRに乗り換えた。
ホームに到着した車両に乗り込み、席を探した。
ん、あの席に座ろう、、、と、座った途端、目の前の人物に聞かれた。
「この電車、どこ行きですか?」
見ず知らずの人ではあったが、えっと〜〜っと、わたしは考えた。
「〇〇に行くんじゃないですか?
電車名にも〇〇の文字が含まれているし、、、」
ドアまで戻り首を伸ばして、車体の外側に記されている表示を見ようとした。
が、実際に見たかどうか、気持ちだけが肉体本体から離れた、わたしの描いた心象風景かも知れない。
目を白黒させて(誇張表現)えっとぉ〜〜状態は続いた。
「この電車、環状線だったかどうか。環状線に乗ったつもりなんで。
どうせ、次で降りるんですけどね」
と、その人は言うが早いか、間髪を入れずに次の話題にチェンジするのが早いか。
「それにしても、今年の夏は異常ですねえ」
と気候の話になり、わたしは身を乗り出して「ほんとにそうですよね〜。どうなってるんでしょうね」
と、気候に話題はシフトし、ずっと以前からの知り合いか友人のように自然に会話が流れた。
今年が異常なのか、来年はどうなのか、過去、現在、未来に及ぶ気候現象の話やらなんやらしながら、
途中であまりにも自然に話している自分に気づいて、この人、この話術はただものではなく、詐欺師か営業マンか、信仰宗教勧誘員か、ナンパ氏で、この手で親しくなって良い思いをした成功例をいくつも持っているのではないかと、ふと疑いが頭をかすめた。
シミひとつない色白の肌(どちらかと言えば青みかかっているため、息をしなくなってもこのままだろうと、余計な憶測)、
余分な肉、脂のない身体(と言っても身体は顔から延長上の想像)、にこやかな静かでアクのない表情、美しいシルバーヘア。
あ、この人、男性です。
清潔で知的な雰囲気の70代?シニア。
頭の中で色んな思いが交錯しながらも、自然体でのおしゃべりは続いた。
お互い、次の駅で降りるので、一駅だけのトーク。
降りてからの展開によって、人生の花が咲く場合もあるだろうし、起承転結の「承」の部分がどういう方向に進むのか、ドラマの掴みの場面だ。
が、人混みに混ざってお互いは紛れてしまい、乗降ドアの(たぶん)右と左に分かれて歩いて行った。
後ろを振り返ると多くの人の頭しかなかった。
若い時なら、それが縁で結婚する場合もあるかも知れない。
あるいは、結婚しなくても、お付き合いが始まるかも知れない。
が、お互いシニア。
吉永小百合の最新作映画「こんにちは、母さん。」みたいなこともあるかも知れない。
(昨日、観たばかり)
想像したり、余韻を楽しんだり。
1日経ってブログに書いて、また再度思い出して、にやにや。
1年、10年後に、ふと思い出すかも知れないし、ひょっとしてどこかで偶然、遭遇するかも知れない。
一歩、家の外を出ると、いろんな可能性や、思い出の原材料がある。
原材料から実際に料理するのも悪くないが、わたしは、にっこり思い出す優良資源が増えたことをこころの糧にする。
ある日の出来事として。
ほんの一駅間だけの、微笑ましい時間になった。
※
写真はラピート。
今回の電車ではありません。