『世界から猫が消えたなら』
監督:永井聡
出演:佐藤健,宮崎あおい,濱田岳,奥野瑛太,石井杏奈,奥田瑛二,原田美枝子他
ダンナが飲み会の日、仕事帰りに伊丹にて1本。
原作は文庫化されてからすぐに読みました。
売れっ子プロデューサーの手によるものということで、
私のほうに多分な先入観はあったと思いますが、なんだか軽くて薄っぺらい。
売れる要素は確かにてんこ盛りだけど、
まるでその点のみに照準を合わせて書かれたかのようで、
私の心にはまったく響かず。
だから、映画化と聞いても「ふーん」という感じでした。
そのうえ、予告編は虫酸が走るほど嫌い。
映像部分はまぁ良しとして、試写会終了後の場内の様子にゲンナリ。
泣いている女性を映し出し、口々に「感動した」だとか「泣けた」だとか。
なかには溢れる涙に言葉が出ない女の子も。
「今まで観た映画の中でいちばんよかったです」とかって、
どんだけ映画観たっちゅうねん、おいっ!とツッコミ入れたくなったりもして。
と、冷めた気持ちながら、先入観を捨てて、
できるだけフラットな心で鑑賞に臨みました。
でもやっぱり泣けなかったんです。10本観れば半分以上の確率で泣く私が。
30歳の郵便配達員、「僕」(佐藤健)は猫とふたり暮らし。
母(原田美枝子)を病気で亡くし、時計店を営む父(奥田瑛二)とは疎遠。
ある日突然、「僕」は医者から脳腫瘍で余命わずかだと告げられる。
呆然とする彼の目の前に現れたのは悪魔(佐藤健の一人二役)。
悪魔は、世界から何か1つ消す毎に、「僕」の命を1日延ばす契約をしようと言う。
消すものは「僕」が選べるわけではなく、悪魔が決める。
話に乗ってしまった「僕」に、悪魔が消すことを宣言したのは、まずは電話。
明日電話がこの世から消えるまでに、せいぜい電話のある生活を楽しめと言われ……。
以下、ネタバレを含みます。
「僕」が会いに行くのは別れた彼女(宮崎あおい)。
間違い電話をきっかけにつきあいはじめた彼女とは、
電話がなくなれば会うこともありません。
モノが消えてしまうばかりか、それにまつわる人間関係も消えてしまいます。
電話の次は映画。
大学で親しくなったツタヤことタツヤ(濱田岳)は無類の映画好き。
彼からお薦め映画のDVDを1本ずつ借りるのが「僕」の日常。
映画は無限にあるから、君と僕との関係は永遠に続くと言っていたタツヤ。
なのにこの世から映画が消えたら、タツヤとの関係も消えてしまう。
猫を消すと言われたとき、ようやく気持ちの整理をつけることができた「僕」。
序盤は終始流れるBGMが気になって気になって。
泣かせるためだと思うとテンションだだ下がり。
そのわりに控えめなエンディングには好感が持てました。
それと、こんなにも売らんかなの作品のくせして、
主人公の「僕」の台詞が「ら抜き」でなかったのが個人的にはポイント高し。
そのわりに、登場する映画館の看板は「見れます」になっていたのはなんでよ。
原作よりはこっちのほうが好きだったかな。
泣かなかったとはいえ、濱田岳演じる映画オタクのタツヤにはしんみり。
タツヤが「これこそ劇場で観るべき」と声を大にして叫んでいた、
エミール・クストリッツァ監督の『アンダーグラウンド』(1995)は、
来月、第七藝術劇場で上映予定です。気になる人はナナゲイへ走るべし。
この世から映画と本と猫が消えたら困ります。
監督:永井聡
出演:佐藤健,宮崎あおい,濱田岳,奥野瑛太,石井杏奈,奥田瑛二,原田美枝子他
ダンナが飲み会の日、仕事帰りに伊丹にて1本。
原作は文庫化されてからすぐに読みました。
売れっ子プロデューサーの手によるものということで、
私のほうに多分な先入観はあったと思いますが、なんだか軽くて薄っぺらい。
売れる要素は確かにてんこ盛りだけど、
まるでその点のみに照準を合わせて書かれたかのようで、
私の心にはまったく響かず。
だから、映画化と聞いても「ふーん」という感じでした。
そのうえ、予告編は虫酸が走るほど嫌い。
映像部分はまぁ良しとして、試写会終了後の場内の様子にゲンナリ。
泣いている女性を映し出し、口々に「感動した」だとか「泣けた」だとか。
なかには溢れる涙に言葉が出ない女の子も。
「今まで観た映画の中でいちばんよかったです」とかって、
どんだけ映画観たっちゅうねん、おいっ!とツッコミ入れたくなったりもして。
と、冷めた気持ちながら、先入観を捨てて、
できるだけフラットな心で鑑賞に臨みました。
でもやっぱり泣けなかったんです。10本観れば半分以上の確率で泣く私が。
30歳の郵便配達員、「僕」(佐藤健)は猫とふたり暮らし。
母(原田美枝子)を病気で亡くし、時計店を営む父(奥田瑛二)とは疎遠。
ある日突然、「僕」は医者から脳腫瘍で余命わずかだと告げられる。
呆然とする彼の目の前に現れたのは悪魔(佐藤健の一人二役)。
悪魔は、世界から何か1つ消す毎に、「僕」の命を1日延ばす契約をしようと言う。
消すものは「僕」が選べるわけではなく、悪魔が決める。
話に乗ってしまった「僕」に、悪魔が消すことを宣言したのは、まずは電話。
明日電話がこの世から消えるまでに、せいぜい電話のある生活を楽しめと言われ……。
以下、ネタバレを含みます。
「僕」が会いに行くのは別れた彼女(宮崎あおい)。
間違い電話をきっかけにつきあいはじめた彼女とは、
電話がなくなれば会うこともありません。
モノが消えてしまうばかりか、それにまつわる人間関係も消えてしまいます。
電話の次は映画。
大学で親しくなったツタヤことタツヤ(濱田岳)は無類の映画好き。
彼からお薦め映画のDVDを1本ずつ借りるのが「僕」の日常。
映画は無限にあるから、君と僕との関係は永遠に続くと言っていたタツヤ。
なのにこの世から映画が消えたら、タツヤとの関係も消えてしまう。
猫を消すと言われたとき、ようやく気持ちの整理をつけることができた「僕」。
序盤は終始流れるBGMが気になって気になって。
泣かせるためだと思うとテンションだだ下がり。
そのわりに控えめなエンディングには好感が持てました。
それと、こんなにも売らんかなの作品のくせして、
主人公の「僕」の台詞が「ら抜き」でなかったのが個人的にはポイント高し。
そのわりに、登場する映画館の看板は「見れます」になっていたのはなんでよ。
原作よりはこっちのほうが好きだったかな。
泣かなかったとはいえ、濱田岳演じる映画オタクのタツヤにはしんみり。
タツヤが「これこそ劇場で観るべき」と声を大にして叫んでいた、
エミール・クストリッツァ監督の『アンダーグラウンド』(1995)は、
来月、第七藝術劇場で上映予定です。気になる人はナナゲイへ走るべし。
この世から映画と本と猫が消えたら困ります。