夜な夜なシネマ

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『5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生』

2018年01月30日 | 映画(か行)
『5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生』(原題:Mein Blind Date mit dem Leben)
監督:マルク・ローテムント
出演:コスティア・ウルマン,ヤコブ・マッチェンツ,アンナ・マリア・ミューエ,
   ヨハン・フォン・ビューロー,アレクサンダー・ヘルト他

大阪ステーションシティシネマにて、3本ハシゴの3本目。
3本とも観たかった作品ではありますが、
本命だった本作を上映していたのが梅田ではココだけでした。
もしもこれがなかったら、普通にTOHOシネマズ梅田へ行って、
『伊藤くん A to E』と『ジオストーム』を観ていたかも。
『ペーパー・ムーン』も見送っていたでしょうし、
本作のおかげで選択したステーションシティで凄くいいハシゴができました。

ドイツの一流ホテルで実際にあった話が基。ビックリします。

スリランカ人の父とドイツ人の母を持つ真面目な高校生サリヤ。
一流ホテルでの職業体験に参加したところ、成績優秀。
卒業したら本当に来い、君なら喜んで採用すると言われる。

ところが、彼の眼に異変が生じる。
焦点がぼやけ、黒板の字どころか友だちの顔も見えなくなり、
病院で診察を受けると、先天性の病気に冒されていた。
手術を受けて失明は免れたものの、95%の視力を失う

息子の将来を有望視していた父親は意気消沈。
このまま普通科に通いたいという息子に暴言を吐くが、母親と姉は良き理解者。
日常生活や試験勉強に手を貸し、サリヤは見事卒業する。

眼が見えずとも夢をあきらめたくない。
障害のことを正直に話していくつかのホテルに応募するものの、どこも不採用。
卒業したら来いと言ってくれたホテルからも門前払いを喰らう。

そこでサリヤは障害を隠して応募、面接に臨む。
姉の指導で模擬面接を繰り返し、ホテル内外の通路も覚えた結果、
極度の弱視だとはバレずに採用される。

晴れてミュンヘンの5つ星ホテルの研修生となったサリヤは、
ホテルマンの見習いとしてあらゆる業務に携わるのだが……。

ポジティブです。
まず手術後のサリヤの言葉が、「5%の視力が残ったのだからよかった」。
たびたび映る彼の視界。普通の人の5%の視界ってこんなふうなのですね。
歩くことさえままならぬ、何も見えないのと同じです。

そんな視力でありながら、客室の清掃作業に始まり、ベッドメイキング、
フロント業務、レストランの厨房およびフロア業務まで。
もちろんひとりではどうにもならず、同じ研修生でお調子者のマックスが
あれやこれやと助けてくれます。

いい話だけで終わるのかと思いきや、悲惨な状況に陥りもして、
どうしようもなく暗い気持ちになるシーンも。
それでも立ち直り、再び夢を追いかけるサリヤと彼を見守る周囲の人々に感激。
鬼教官だって根っから悪い人じゃない。
しかしスゲェな、5つ星ホテル。ホテルマンって、全業務こなせるんだ。

「5%しか残らなかった」ではなく、「5%も残った」と言える人になれたなら。

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