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『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の16本目@伊丹)

2018年01月07日 | 映画(は行)
『8年越しの花嫁 奇跡の実話』
監督:瀬々敬久
出演:佐藤健,土屋太鳳,北村一輝,浜野謙太,中村ゆり,
   堀部圭亮,古舘寛治,杉本哲太,薬師丸ひろ子他

ピンク映画出身、“ピンク四天王”のひとりでもある瀬々敬久監督。
メジャーになってからも多種多様で、『感染列島』(2008)のようなパニック大作、
『愛するとき、愛されるとき』(2010)みたいなエロス系、
岡田将生榮倉奈々が共演した話題作、『アントキノイノチ』(2011)、
『ストレイヤーズ・クロニクル』(2015)、『64―ロクヨン―』(2016)、
それに単館系の『最低。』(2017)など、いろいろ楽しんで撮られている気配。

300万人に1人という難病に冒された女性を待ち続けた男性。
「感動の実話から生まれた奇跡のラブストーリー」なんて惹き文句は、
正直なところ、とても苦手なのですが、想定以上に泣きました。

町工場で働く自動車修理工・尚志(佐藤健)は、
職場の先輩・浩輔(浜野謙太)に無理やり連れて行かれた飲み会で、
料理人・麻衣(土屋太鳳)と出会う。
体調が悪くて口数の少なかった尚志の態度を、麻衣は不機嫌だと勘違い。
二次会には行かずに帰ろうとする尚志を追いかけてきて諫める。
勘違いだとわかって麻衣が謝罪、そこからふたりの交際がスタート。

やがて尚志がプロポーズ、麻衣の憧れだった式場を予約して、
ふたりの出会いの日に挙式すると決める。

ところがある日、麻衣の様子がおかしくなる。
麻衣の両親(杉本哲太薬師丸ひろ子)とともに麻衣を病院へ連れて行くと、
卵巣にできた嚢腫が麻衣の脳をも攻撃していることが判明。
一命は取り留めたものの、麻衣は昏睡状態に。

麻衣が目覚めたときにそばにいたい一心で、
毎朝通勤前に2時間の道のりを駆けつける尚志。
麻衣の両親はそれを嬉しく思いつつも、
尚志の人生を壊してはいけないと考え、もう来なくていいと告げる。
一旦はそれを受け入れた尚志だが、やはり麻衣を想う気持ちは変わらない。
奇跡を信じて通いつづけると、数年後、麻衣は意識を取り戻すのだが……。

目覚めたけれど、両親のことも友だちのことも覚えているけれど、
ただひとり、大好きだったはずの人のことだけ、まったく思い出せない。
思い出してもらえない人も辛ければ、思い出せない人も辛い。
よくぞここまで献身的に寄り添い、愛を貫き通したと思わずにはいられません。

尚志が勤める町工場の社長役、北村一輝がものすごくいい。
相変わらず濃い顔だけど、こういう普通のオッサン役がとても似合っていて意外。

忘れたなら、思い出せないなら、また一から始めればいいんだなぁ。

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