夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

2018年9月に読んだ本まとめ

2018年10月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2018年9月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:4552ページ
ナイス数:892ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly

■終わった人 (講談社文庫)
「定年って生前葬だな」、この冒頭の一言に面白そうだと期待して映画版を観に行ったものの、ちっとも乗れずに帰ってきたのが3カ月前。原作にも私はやはり乗れません。定年後に暇を持て余して「大学院にでも」と考えるところが大学院に失礼。と思ったら、青年実業家から会社の顧問にと言われて舞い上がり、挙げ句の果てに社長にという話まで受けてしまう。不倫できるかもと胸をときめかせるくだりはかなりキモイ。しかし500頁超をイライラしながらも数時間で読ませるのだから巧いのでしょう。世の中こんな妄想を抱くオッサンばかりだと嫌だなぁ。
読了日:09月02日 著者:内館 牧子
https://bookmeter.com/books/12682844

■亀と観覧車 (中公文庫)
どうしようもない両親と暮らすのは、夜間高校にかよう娘。彼女を救ったのは末期癌で余命一年の小説家。括弧内の句読点を排除した会話、および空白の括弧内。実験的小説とはこういうものかと面白みは感じましたが、如何せん設定そのものを私は生理的に受け付けられません。彼女が祖父ほども年齢の離れた男性のもとへ走る心情を否定する気はないけれど、相手はいわばロリコンだと思うから、それを詳細に語られるのは気持ち悪い。読後に妙に生々しさだけが残ってしまいました。純愛はこんなふうに生々しくあってほしくはないと思うのは理想論ですかね。
読了日:09月03日 著者:樋口 有介
https://bookmeter.com/books/13031186

■にょにょにょっ記 (文春文庫 ほ 13-3)
いろいろあってクサクサしているとき、あんまり長い話や重い話を読めそうになくて、またもやすがりたくなる穂村さん。今回は解説代わりのほかの人のにょっ記がないのが残念だけど、のっけからやっぱり笑ってしまう。改行による見事なオチ。凄いセンスだなぁ。なんでこんなにオモロイんだろう。国語のテストよりもあなたのほうがよほどシュール。森見さんを読むときにも思うことですが、「しゅぱっと」とか「みょんみょん」とかの擬態語に私は弱すぎる。好きすぎて、ニヤけた顔が元に戻らない。100ハイジぐらい、元気いただきました。ありがとう。
読了日:09月05日 著者:穂村 弘,フジモト マサル
https://bookmeter.com/books/12879723

■烏丸ルヴォワール (講談社文庫)
すごく一生懸命読んだのです。『丸太町』は楽しくて仕方なかったから、この『烏丸』だって一所懸命、一生懸命読んでいれば、そのうちわかるにちがいないと思って。だけど凡人のアタマにはムリでした(泣)。私的裁判「双龍会」で繰り広げられているのがとても面白いことだというのはわかるのに、何が起こっているのかついていけなくなり、登場人物の誰が今しゃべっているのかもわからなくなる始末。『丸太町』の読了後すぐに読めばなんとかなったのでしょうか。わからないのにカッコイイ、「落花狼藉、堪忍な」。私もちょっぴり狼藉を働きたいのだ!
読了日:09月08日 著者:円居 挽
https://bookmeter.com/books/7386356

■槐 (光文社文庫)
キャンプ場に隠された大金を狙って我先にと駆けつける悪の軍団。巻き込まれるのは野外活動部の中学生たち。引率は学校一嫌われ者の教頭と学校一やる気のない臨時教諭。不良軍団が皆「君」付けで呼び合っていて、あんたらジャニーズかと思いきや、意外にもグローバル(笑)。映像化したら少なくともR15+にはなりそうな肉ぶった斬りの血飛びまくり。あり得なさに笑ってしまうけれど、キレ味抜群、痛快で興奮しました。勇気を持って、最後まであきらめないってやっぱり大切なこと。仲間を騙し討ちする悪党になんて負けてたまるか。教頭先生に敬礼。
読了日:09月11日 著者:月村 了衛
https://bookmeter.com/books/11991626

■日本語びいき (中公文庫)
数年前、まだ若いお母さんが子どもさんの手を引いて「歩けれる?」と尋ねているのを耳にしたとき、世も末だと思いました。百歩譲って「ら抜き」は受け入れるとして、「さ入れ」を聞くたびに苦笑いしていたのに、こんな「れ足す」なるものまで登場するなんて。悲しいかな、「れ足す」を何の疑問もなく使っている人はおそらくこの本を手に取らない。それどころか本を読む習慣もない。多少なりとも自分の話す言葉を気にかけている人しか読まないから、ますます知る知らないの差は広がるばかりかと。正しいものをきちんと知って、楽しく崩して使いたい。
読了日:09月13日 著者:清水 由美
https://bookmeter.com/books/13037410

■芋虫 江戸川乱歩ベストセレクション2 (角川ホラー文庫)
いつも酒を飲みながら本を読んでいると言われそうですが、はい、たいていそうです。だってそれは至福の時間。アルコールが入っても覚醒するタイプの本もあるけれど、これは幻想世界に誘われて時折眠気を催すタイプ。しかし夢現つの状態で読むのにもまたピッタリ。鮮やかなる狂気、美しき変態とでも言いましょうか。映画『キャタピラー』のモチーフとなった表題作がやはり凄い。古めかしいのに、いつまで経っても新しい。この装丁に惹かれて全巻購入しましたが、読むのは1年に1冊ペース。1カ月に何冊も乱歩を読んだら、頭が変になりそうで(笑)。
読了日:09月14日 著者:江戸川 乱歩
https://bookmeter.com/books/541296

■ランチに行きましょう (徳間文庫)
友人とのランチは本来楽しいもののはずだけれど、表面的友人から誘われたランチは微妙。子どもを同じ幼稚園に通わせるママ友同士だといっても、ここで会わなければ友人になっていたとは思えない人とも付き合いを強いられる辛さ。必然に迫られて始まった人間関係が真の友人関係に変化することもあるとは思いますが、ここに出てくるママでやっぱり友達になるのは無理だと思う人もいますねぇ。ドロドロ度は割と低く、結局は綺麗に収束。読了時に「良かった」と言える人は性格良し、「あ、そう」とちょっぴりしらけた私は性格悪い。すみません。(^^;
読了日:09月18日 著者:深沢 潮
https://bookmeter.com/books/12912737

■ずうのめ人形 (角川ホラー文庫)
「ぼぎわん」とか「ずうのめ」とか、よくもこんなに「なんかゾワゾワする」言葉を思いつくものだなぁ。ぼぎわんも面白かったけれど、終盤のバトルが暴走した感がありました。それに比べてずうのめはひそやかに熱い。呪われた青年・藤間たちを描く本筋の話と、彼らが呪われるきっかけとなった原稿と、両方読めるから一粒で二度美味しい。人形がすぐそばまで近づいてきたとき、藤間の様子にふと思い出して笑ってしまったのが山崎まさよしの歌。いつでも捜してしまうのね。こんなとこにいるはずもないのに。いや、おるがな。怖いっちゅうねん。(^^;
読了日:09月21日 著者:澤村伊智
https://bookmeter.com/books/12918386

■カセットテープ少年時代 80年代歌謡曲解放区
今いちばん気に入っている音楽番組が『ザ・カセットテープ・ミュージック』マキタスポーツとスージー鈴木が、カセットテープに入れるとしたらという前提で80年代を中心に各3曲選ぶ。その番組を丸ごと書き起こしたのが本作です。コード進行の話は字で読むだけだと私にはわからないので、これはあくまで番組鑑賞後にあの楽しさを思い出すための本。時代的にハマる人にはまず番組を一度観てほしい。車を4台乗り継いだのにカーオーディオは昔のまま、カセットテープ対応の私。次の乗り換え時はもう無理だとディーラーから言われています(泣)。
読了日:09月22日 著者:ザ・カセットテープ・ミュージック,マキタスポーツ,スージー鈴木
https://bookmeter.com/books/12852975

■食べる女: 決定版 (新潮文庫)
映画版を観に行くときの電車の中で読み始めました。鑑賞前に読んだ時点では映画版の登場人物とぴったり同じ女性は見当たらず、鑑賞後に続きを読んでなるほど。映画化というよりはモチーフ。原作は独立した短編で、映画版のように各編の登場人物が一堂に会したりはしません。個人的には映画版のほうが断然好き。ただ、「ハートは鍛えれば鍛えるほど強くなる」という原作の言葉は心に残りました。映画の中のキョンキョン曰く、人が幸せを感じるのはいいセックスといい食事。前者はひとりではできないから、ひとりでもできる後者は手抜きするな。はい!
読了日:09月25日 著者:筒井 ともみ
https://bookmeter.com/books/13074370

■ON 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子 (角川ホラー文庫)
よろず建物因縁帳シリーズにすっかりハマり、同著者のこのシリーズも読んでみたくなりました。結構怖そうな表紙にビビりながら頁を開いたら、事件自体は凄絶ながら、比奈子のキャラに和みます。彼女のメモは巧くもないイラストだらけ、お守りは七味缶。そんな彼女だから、人に気を許しやすくさせるのか、事件の鍵をいっぱい拾ってくる。TVドラマ版では波瑠が演じていたそうで、なるほど合っていますね。やっぱりよろず建物シリーズのほうが好きだけど、比奈子とよろずの春菜が出会ったら、意外といいコンビになったりして。迷う暇があるなら進め。
読了日:09月28日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/8315800

■CUT 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子 (角川ホラー文庫)
できるだけひと月にいろんなジャンルのいろんな作家の本を読むと決めているので、上下巻とかでない限り、同じ月に同じ作家はほとんど読まないんです。しかしどうにも気になって仕方なく、続けて『CUT』へ。『ON』ほど比奈子の記憶力が発揮された感はないけれど、内容はこっちのほうが私には面白かった。比奈子の同僚たちに愛着も湧いてきて、止まらぬ予感。グロすぎるから、想像力はあまり働かせないほうが無難(笑)。「メールが言葉を発するかい?血の通った温かい言葉をさ」という言葉が心に沁みました。グロくても爽やか、それも良いとこ。
読了日:09月30日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/9661479

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