夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『グリンチ』〈吹替版&字幕版〉(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の7本目@伊丹&8本目@梅田)

2018年12月20日 | 映画(か行)
『グリンチ』(原題:The Grinch)
監督:ヤーロウ・チェイニー,スコット・モシャー
声の出演〈吹替版〉:大泉洋,横溝菜帆,杏,秋山竜次,宮野真守他
声の出演〈字幕版〉:ベネディクト・カンバーバッチ,キャメロン・シーリー,ラシダ・ジョーンズ,
         キーナン・トンプソン,アンジェラ・ランズベリー他

鑑賞順が前後しますが、面倒くさいので(笑)、吹替版と字幕版、まとめて書きます。

字幕版は後述の『彼が愛したケーキ職人』と梅田でハシゴしました。
個人的には字幕版の圧勝です。字幕版を上映している劇場が少ないのが残念。

まず、同時上映の『ミニオンのミニミニ脱走』(原題:Yellow is the New Black)が可愛すぎ。
これも字幕版のほうが好きだなぁ。

どこかにある夢のようで夢ではない平和なフー村。
クリスマスが迫り、人びとはその準備に忙しい。

そんな村のはずれの洞窟で孤独に暮らすグリンチ。
彼が心を許すのは忠実な愛犬マックスだけ。
幼少期を孤児院で過ごしたグリンチは、他人の幸せが嫌い。
だから、世間が幸せいっぱいになるクリスマスが大嫌い。

他人の幸せを見ずに済むようにと、早めに食糧を買い込んでいたのに、
やけ食いしたせいで冷蔵庫も引き出しも空っぽ。
やむを得ず買い物に出かけると、浮かれムードの村にはらわたが煮えくり返る。

村からクリスマスを盗んでしまえばいい。
そう気づいたグリンチは、サンタクロースに変装
トナカイ代わりの大役を担ったマックスと共に、
村中からプレゼントやツリーを盗もうとする。

一方、村に暮らす少女シンディ・ルーは、働き者の母親ドナのことが心配。
ママの幸せだけをひたすら願う彼女は、
サンタクロースを捕まえて直訴しようと考えるのだが……。

日本語吹替版ではナレーションを宮野真守が担当。
なんちゅうのかこれが説教臭いんです。
字幕版とそう変わらないことをしゃべっているのに、
「ひとりでいるのは可哀想感」が吹替版のほうに漂いすぎ。
大きなお世話じゃなかろうかと言いたくなりました。

大泉洋は好きだけど、これもベネディクト・カンバーバッチのほうがずっといい。
ひねくれもののグリンチの声に合っているような気が。

吹替版では説教臭いのに加えて退屈さも感じ、しばしば睡魔に襲われる。
字幕版ではまったくそんなことなく。
そして伊丹では笑いなんてちっとも起きませんでしたが、梅田ではいっぱい客の笑い声が。
字幕を読めないであろう小さな子どもさんたちもすごく笑っていて、
台詞がわからなくてもじゅうぶん面白さは伝わるのだと思いました。
吹替版はその面白さを壊してしまっているんじゃないかと。
シンディ・ルーの声にしても、吹替版はただただ良い子の印象。
字幕版では可愛い女の子ながら時おり声にドスをきかせるところが可笑しくて。

本作の監督は『ペット』(2016)のヤーロウ・チェイニーと、
もうひとり、スコット・モシャー。この人、これが長編映画デビュー作ですが、
長らくケヴィン・スミス作品のプロデューサーとして活躍された人とのこと。
文句言いつつも、マックスはめっちゃ可愛いです。虜になりました。

あ、そうそう、グリンチがパイプオルガンで演奏する曲は
エリック・カルメンの“All by Myself”でしたね。
この曲を生まれて初めて聴いたとき、切ないメロディに失恋の歌だと思っていました。
何年か経って歌詞を知ったときは衝撃は今もおぼえています。
恋の歌とちゃうかったんや、なんかひねくれてると思ったもので。
グリンチの心情はこんなだったのね。

ひとりでいる人が自分で「寂しい」と言うのはいいと思います。
だけどその人自身はなんとも思っちゃいないのに、
周囲の人が「可哀想」と決めつけるのはどうなんだか。
しかも「ひとりでいるのは寂しいことなんだよと気づかせてあげている」雰囲気すら感じる。
「いや、だからほんとに寂しくないんだってば」と言ったところで「強がっている」と思われそうだし、
何も言わずに微笑み返しするしかないのかしらん。

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