夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈ま行〉

2018年12月29日 | 映画(ま行)
《ま》
『マクファーランド 栄光への疾走』(原題:McFarland, USA)
2015年のアメリカ作品。
ケヴィン・コスナー主演なのに日本では未公開。実話が基。
高校のアメフト部のコーチ、ジム(ケヴィン・コスナー)は、
すぐに短気を起こしては上司や選手とやり合ってしまう。
そのせいで勤務先をクビになり、ようやく受け入れてくれることになったのは、
カリフォルニア州マクファーランドの高校。
マクファーランドはヒスパニック系住民が多く住むとても貧しい農業地域。
失望する娘たちをと妻のシェリル(マリア・ベロ)をなだめてなんとか着任。
アメフト部の監督を務めるはずが、古参のコーチと意見が合わず。
間に入った校長からアメフト部の話は反古にされ、体育の授業のみ担当することに。
そこでジムは生徒たちの脚力に圧倒される。
早朝から家族とともに農地に出て働き、農地から学校まで走る日々を送っているせいで、
生徒たちにはとんでもない脚力と疾走力、持続力がついていたのだ。
ジムはクロスカントリー部を立ち上げるが、陸上など教えた経験もなく……。
未公開が納得できるほど地味だし、ジムは最初は根性論のみに思えます。
しかし、練習するうちに生徒たちと心を通わせてゆく姿はスポ根の王道。
春に種を蒔き、秋に収穫し、冬に満腹になりたいだけ。そんな彼らの想いが実るとき。

《み》
『ミッシング・チャイルド 呪いの十字架』(原題:Eg Man Pig)
2017年のアイスランド作品。
“未体験ゾーンの映画たち 2017”で上映中にDVDが発売されたので、
わざわざ劇場に行くほどでもないかとレンタルして鑑賞。
精神医学者フレイルは、幼い息子ベンニが3年前に忽然と姿を消して傷心のまま。
ある日、首吊り自殺をした老婆を女刑事とともに調べてみると、
その老婆と同年代で同郷の者たちが何人も変死していることがわかる。
亡くなった老人たちは60年前に失踪した少年をいじめていたらしい。
フレイルは自分が少年の霊によって息子のもとへと導かれているように感じる。
一方、彼が働く病院の向かいの島に、若夫婦のガルザーとカトリーン、
その友人で未亡人のリーフがやってくる。
彼らは島の廃屋を改装して民宿を始めようとしていた。
ところが、赤ん坊を死産したことから立ち直れないでいるカトリーンは、
「ママ」と呼ぶ声を聞いたり、少年の走る姿を見かけたりするようになり……。
結構怖かった。時間軸を上手くずらして見せていて、最後はなるほど。
三角関係の果てに倒壊した建物の下敷きになるガルザーとリーフ。
遺体を見つけてもらって安心したかのように父親のもとへ駆けてゆくベンニの幽霊。
60年前に死亡した少年とともに廃屋に残ることにしたカトリーン。
救いがあるようなないような、とにかく暗い作品です。
スペイン語圏やポルトガル語圏のホラーに似た雰囲気もあり、嫌いじゃない。

《む》
なし(泣)。
なんとか見つけようとしましたが、劇場公開映画では『ムタフカズ』のみ。
DVDセルやレンタル作品にもこれ以外にありませんでした。

《め》
『名探偵シャーロック・ノームズ』(原題:Sherlock Gnomes)
2018年のアメリカ/イギリス作品。日本では未公開のアニメーション。
ガーデンノームといえば、庭に置かれた「白雪姫とこびと」、あれです。
本作は白雪姫はいないけれど、ガーデンノームたちの世界で起こる事件。
ロンドンの新しい庭に引っ越してきたノームのノミオとジュリエット。
仲間たちと平和に暮らしていたのに、出先からふたりが帰ると仲間が全員消えていた。
名探偵シャーロック・ノームズとワトソンと共に仲間の行方を探すうち、
ノームズの宿敵モリアーティの仕業であることがわかり……。
未公開だったけれど、声を担当している俳優陣はかなり豪華。
ジェームズ・マカヴォイエミリー・ブラントキウェテル・イジョフォー
ジョニー・デップマイケル・ケインマギー・スミスオジー・オズボーンまで。
割られないように奮闘するノームたちがカワイイです。

《も》
『モンスター・ホテル クルーズ船の恋は危険がいっぱい?!』(原題:Hotel Transylvania 3: Summer Vacation)
2018年のアメリカ作品。
10月に公開されたところなのに、12月にもうDVD発売。
自らが経営するモンスター・ホテルで働きづめの父・ドラキュラを心配する娘・メイヴィスは、
ここらで気分転換してもらおうと、豪華クルーズ船の旅を提案。
ホテルの従業員を引き連れて船に乗り込んだドラキュラは、船長・エリカに一目惚れ。
父には幸せになってほしいと思うものの、なんとなくエリカは信用できない。
メイヴィスの勘が残念ながら当たり。
エリカの父親はモンスターの殲滅を狙うヴァン・ヘルシング。
エリカは父親の命令を守ってモンスターたちを一掃するために暗躍するが、
なぜかドラキュラのことが気になってしまい……。
大人も子どもも楽しめる安心のアニメーション。
そういえばドラキュラの声を担当するアダム・サンドラー、このごろあまりお見かけしませんね。
声だけでなく姿が見たいので、実写映画に出演してください。

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今年観た映画50音順〈は行〉

2018年12月29日 | 映画(は行)
《は》
『犯人は生首に訊け』(英題:Bluebeard)
2017年の韓国作品。
昨夏、シネマートで開催された“反逆の韓国ノワール 2017”にて上映。
医師スンフンは妻子と別れ、新興都市の個人病院に勤務。
漢江の解氷とともに首と手足が切断された女性の死体が浮かび上がり、
15年に渡る未解決連続殺人事件が起きているこの町の住民は不安に。
スンフンの住むマンションの大家は、1階で精肉店を営む老人とその息子。
認知症の老人が診察中に口走った言葉に戦慄を覚えたスンフンは、
息子の嫁が一人目も二人目も行方不明との噂を聞き、
あの親子が連続殺人犯なのではと疑いはじめるのだが……。
巻き込まれたかのようなスンフンが実は精神病。
すべての事件の犯人にされて終わり。
でも本当の連続殺人犯は老人だよという、救いようのない終わりかた。
英語タイトルの“Bluebeard”はおとぎ話に由来、
「妻を何人も替えては殺した男」の意味だそうで、気が利いていますねぇ。

《ひ》
『百日告別』(原題:百日告別)
2015年の台湾作品。
高速道路の多重事故に巻き込まれ、それぞれ最愛の人を失った男女。
ユーウェイ(♂)は妊娠中だったピアノ教師の妻を亡くし、
シンミン(♀)は結婚間近だった料理人の恋人を亡くす。
合同葬儀でお互いの存在を知るわけですが、
このふたりがくっつくとかいう安直な展開ではありません。
あくまでふたり別々、葬儀場で顔を合わす程度で、
それぞれが喪った悲しみを持ちながらどう気持ちの整理をつけてゆくか。
ユーウェイもシンミンも無気力になり、自分で命を絶つことを考える。
そんなときに聞こえてくる、妻の生徒のピアノの音色。
見せられる、幼き日の恋人が担任教師に宛てた手紙。
死ぬな、生きろ。百日経ったら、涙を拭いて。

《ふ》
『フェイク 我は神なり』(英題:The Fake)
2013年の韓国作品。
『ソウル・ステーション/パンデミック』と同じく、
ヨン・サンホ監督によるサスペンスに満ちた社会派アニメーション。
ダム建設のために水没が予定されている村に、
住民の心の寄る辺となるべく教会が建てられ、カリスマ視されている牧師がいる。
そんな村で寄付を募って大儲けを画策する詐欺師。
長らく村を離れていた粗暴な中年男ミンチョルが戻ってきて、
住民が騙されそうになっていることをすぐに見抜くが、
ろくでなしミンチョルの言うことなど誰も聞こうとせず……。
こんなアニメは今まで観たことがない。陰鬱で救いがないけど引き込まれます。

《へ》
『ヘドローバ』
2017年の日本作品。
動画オンデマンド配信サービス“VICE PLUS”の「ケータイで撮る映画シリーズ」第1弾。
不良ばかりが住む団地に暮らすカズヤ(木ノ本嶺浩)と妹ユリ(洪潤梨)。
団地を仕切るのはヤン兄弟(ウメモトジンギ&一ノ瀬ワタル)とその祖母(竜のり子)。
祖母は怪しい宗教の教祖で、信者に団地の部屋と金を貸す段取りをつける。
借金まみれとなった信者が自殺すると、その部屋の後始末をするのがカズヤの役目で……。
相当気持ち悪くて、直視できなかったシーンいっぱい。
カズヤの腕が腐るところなんて、オエーッ。
最後がまた強烈で、「ヘドローバ」とはなんぞやと思ったら、ヘド老婆。
風呂場で脳卒中を起こした婆さんがドロドロのへどろの化け物と化します。
腐乱死体の清掃を仕事とするカズヤは、怪しい博士が開発した掃除道具でヘドローバと対決。
不快なものを集めましたという作品で、ちょっと耐えがたい。すみません。(^^;

《ほ》
『星空』(原題:星空)
「ひ」の『百日告別』と同じ、トム・リン監督による2011年の台湾作品。
台湾の人気絵本作家ジミー・リャオの同名ベストセラー絵本が原作。
2012年の大阪アジアン映画祭で上映され、2017年10月に劇場公開が実現。
13歳のシャオメイの両親はいつも喧嘩ばかり。
いたたまれなくなって、大好きな祖父の家へ向かいかけたこともしばしば。
そのたびに家出を思いとどまり、祖父に電話をかけては安心する。
ある日、シャオジエという転入生がやってくる。
彼が描いた裸体画を見て同級生らは興奮、シャオジエと喧嘩になる。
芸術の才能は認めるが同世代には刺激が強すぎるとして
教師から学校にスケッチブックを持ち込まないようにと言い渡される。
シャオジエに興味を持ったシャオメイは彼のあとをつける。
どうやら彼も家庭に問題を抱えているらしく、ふたりは親しくなるのだが……。
星空のジグソーパズルがキーワードになっています。
発熱したシャオメイをシャオジエが負ぶって走るときに見る星空が想像を超える美しさ。
これはぜひとも劇場で観たかった。
台湾で別れを余儀なくされたふたりが何年も経ってからパリで再会なんて、
そんな偶然あるかいなと思うけれど、瑞々しく切なくて、心に残るシーン。

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