2018年11月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:5040ページ
ナイス数:1757ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly
■真実は間取り図の中に 半間建築社の欠陥ファイル (角川文庫)
欠陥案件って、手抜き工事などの見つかった物件のことかと思ったら、そうではないのですね。住人に体調不良が生じたり、幽霊騒ぎが起きたり。だけどその原因はオカルトではない。主人公の女大工・環奈が勤める建築会社の半間社長は、それを解決すること(だけ)が得意。増改築を繰り返す家の話に、うおっ、これはウィンチェスターハウスのようだわと思ったら、半間からその名前が出てきてワクワク。優しい目上の顧客にも敬語を使わない半間と、なんぼなんでもエラそすぎる環奈にちょっとイラッ。でも、間取り図って、見ているだけで楽しいんだなぁ。
読了日:11月01日 著者:皆藤 黒助
https://bookmeter.com/books/13068844
■静子の日常 (中公文庫)
爆発的に面白いわけではありません。だって、ここに描かれているのは、後期高齢者となったおばあちゃんの日常。息子一家と同居する静子さんは一見おっとり可愛らしい。しかしその実を知れば、やるな、婆ちゃんとニヤリ。何度かふきそうに。静子さんは、人が決めたことはそうでもないけれど自分で決めたことは絶対に守る人。まったくぶれない。そんな静子さんのことを家族が認め、畏れ、敬意を払っているのがいい。孫娘が爪切りを借りにきて言葉を交わすシーンがとても好き。すっとぼけた雰囲気なのに、ちょっぴり切ない。浮かないときには缶ビール。
読了日:11月03日 著者:井上 荒野
https://bookmeter.com/books/5052871
■スマホを落としただけなのに (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】原作と同じく、深みはないけれど娯楽性の高い作品でした。『ビブリア古書堂の事件手帖』とハシゴしたら、どちらも成田凌が怖すぎて笑いました。田中圭のなせる技か、原作の富田くんよりアホっぽくも軽くもなくて誠実そう。麻美の監禁場所は映画ならでは。蛭にビビる新人刑事役で千葉雄大が大活躍。キャストがそれぞれハマっていて楽しかったです。ラストの少し前、富田くんがスマホのフォルダを見るシーンで期せずして涙ぐんでしまい、こんなんで泣くか私とまた笑う。最後は中田監督らしく、嫌な感じで。
読了日:11月04日 著者:志駕 晃
https://bookmeter.com/books/11648502
■人魚の眠る家 (幻冬舎文庫)
脳の機能が停止したときを死とするか、心臓が停止したときを死とするか。ミステリー的要素は特になし。意識のない人が笑顔を浮かべるところを想像するとやはり怖い。しかしこれが自分の子どもなら、奇跡にすがりたくなるでしょう。娘の死と家族がどう向き合い、気持ちの整理をつけるかがドラマティックに描かれていて、470頁を一気に読ませるのはさすが。最近の東野圭吾には切なさが足りんと個人的には思うのですが(過去に何度もぼやいてすみません)、プロローグとエピローグは好き。「感涙」の映画になるかどうか。人は二度は死なない、か。
読了日:11月07日 著者:東野 圭吾
https://bookmeter.com/books/12828764
■間取りの手帖remix (ちくま文庫)
『真実は間取り図の中に』を読んだあと勢いづいて。全部で180頁足らず、そのほとんどが1頁につき1件の間取り図だから、30分もあれば一応「読了」はできます。しかし、間取り図の奥深さよ。何度でも繰り返し眺めたくなる。どの間取り図にもタイトルが付けられていて、最初の3件でふきました。ぐるり。つるり。ずるり。よくもこんなに楽しいタイトルを思いつく。「平成の人身御供」の記事は、ホントにあった話かと思ってしまいました。でも、六畳一間にそんなにワサワサと人は入って行けんやろ(笑)。妄想を掻き立てられる、愛おしい本です。
読了日:11月08日 著者:佐藤 和歌子
https://bookmeter.com/books/519105
■死刑にいたる病 (ハヤカワ文庫JA)
死刑判決を下された連続殺人鬼が、「8人は確かに殺したけれど、最後の1人はオレが殺したんとちゃう」とのたまう。その殺人鬼から請われて、「冤罪」を調べ始める大学生。美形で、礼儀正しくて、話術に富んでいて、誰もを虜にしてしまう殺人鬼。そんな奴がいると信じたくはないけれど、実際に巷で起きている事件を見れば、魅入られたように犯人のそばから動けなくなっているケースが多い。小説の中だけのことだとは言い切れません。絶望的。『赤と白』を読んだとき、もうちょい重さがほしいと書きました。今やもう、「おみそれしました」。絶望的。
読了日:11月09日 著者:櫛木理宇
https://bookmeter.com/books/12368771
■アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)
斉藤和義の『ベリーベリーストロング』の基となったこの連作短編集には、泥棒も殺し屋も出てこなければ大がかりな陰謀もありません。でも、この「出会い」に唸る。最初の2編で幸福感に包まれ、こりゃ私にとっては満点だと感極まりそうになったものの、全編そうとは行かなかったので、「かなり良かった伊坂幸太郎」ということで。テキトーだったりズケズケものを言ったりするけれど、人を傷つけない。そんな人たちに救われる。「あの時、あれがあの人でよかった」と思える相手に、もっと感謝しなくちゃ。最後は登場人物の相関図がほしいっす(笑)。
読了日:11月14日 著者:伊坂 幸太郎
https://bookmeter.com/books/12136344
■ちょっと一杯のはずだったのに (宝島社文庫 「このミス」大賞シリーズ)
スマホを落として殺人鬼に狙われるのと、酔っぱらって殺人犯の容疑をかけられるのとどちらがマシか。冤罪は大変だけど、サイコパスに追われるのは凄く怖い。『スマホ』のほうが面白かったよなぁと思いつつ、軽くて速攻で読めるのは同じ。B級映画にありがちな誤字「貸りる」が出てきてテンションが下がり、ここは酒の力を借りようと、ちょっと1杯、いや2杯。そうしたら、トリックが明かされる肝心のところで酔っぱらってしまい、理解できず。やっぱり読み終わるまでは飲んだらあかん。なんだこの最後のいい感じは。グッときちゃったじゃあないか。
読了日:11月15日 著者:志駕 晃
https://bookmeter.com/books/12861543
■もものかんづめ (集英社文庫)
かつて、う○こが立った経験を持つ私は、「快便の友」が聞いて聞いてと電話してこられた気持ちがよくわかります(笑)。しかし、う○こネタはまず間違いなくウケる。ゆえにこれで笑いを取ろうとするのはズルイ。早世されたらなおのこと、快便のお友達は思い出して笑い泣きしてしまいそう。さくらさんがお元気だったときに読むのと今読むのとではきっとずいぶん印象が変わる。健康に気を遣っていたのもわかる数々の話を切なく感じます。みんなが思い出してニッコリ笑ってくれたらいい、空の上でそうお思いになっているかもしれません。
読了日:11月16日 著者:さくら ももこ
https://bookmeter.com/books/550753
■人魚の眠る家 (幻冬舎文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】原作では存在感のあった、読み聞かせをする教師は映画版には出てきません。募金に関わるのは妻ではなく夫。へ〜っ。大人の演技がヒートアップしすぎて、私は若干冷め気味。しかし子役三人の演技には泣かずにいられない。眠ったまま睫毛一本動かさない女の子。そんな彼女を見続ける弟と従妹。プロローグとエピローグは映画版でも健在ですが、原作で印象的だった台詞が削られて、その代わりに映画版にしかないシーンや会話があります。わかりやすく泣けて万人受けしそう。奇跡を信じた人も多いのでは。
読了日:11月18日 著者:東野 圭吾
https://bookmeter.com/books/12828764
■カラヴィンカ (角川文庫)
彼女はそんなに酷い女ですか。最低の女ですか。凄まじい美貌の不幸な少女。男たちが勝手に、彼女をわかってやれるのは自分だけだと思い込んでいたように感じます。彼女は思わせぶりなことなんて何もしていない。彼女は人をかばって嘘をつく。結局、相手のことをいちばん考えていたのは彼女なのでは。『雪の鉄樹』と『アンチェルの蝶』と同様に重くて暗いけど、その2作ほどの圧倒的な余韻はありません。信頼していた人が急に変わる様子などにもいささか引き気味。それでも、たったひと言、彼女が聞きたかった言葉が明らかになったときはたまらない。
読了日:11月20日 著者:遠田 潤子
https://bookmeter.com/books/12341775
■億男 (文春文庫)
飛行機が墜落するよりも低い確率だというのに、宝くじの高額当選者ってそんなにいるのかとビックリ。お金では買えない幸せは確かにあるだろうけれど、悲しいかなそれがわかるのはお金を持ったことのある人だけなのでは。限られた額でちまちま買い物をする楽しさを私たちが知っていたとしても、金持ちならばちまちま買うことも店ごと買うこともできる。お金がないと選択肢もないわけで。おそらく著者は億男。そうなるまでに金に困った時期もあったなら、説得力のある話です。必要なのは勇気と想像力と少しの金、そう言えるようになってみたい(笑)。
読了日:11月22日 著者:川村 元気
https://bookmeter.com/books/12630164
■エンジェルフライト 国際霊柩送還士 (集英社文庫)
日本人が海外で死ぬ、外国人が日本で死ぬ。そんな場合の遺体の処置や移送も、普通の葬儀社がおこなっているのだと思っていました。国際霊柩送還士という職業があるなんて。遺体をゴミ同然に扱う国もあれば、扱う術を知らない国もある。各国各地に出向き、遺族の気持ちに寄り添った仕事をするエアハース社の面々に頭が下がります。まるで生きているかのようにではなく、故人は故人として、遺族がきちんとお別れできるように施すエンバーミング。しかし、故人の最期の願いを凄絶な遺体から知り得る場合もあるのですね。遺体と向き合い、払われる敬意。
読了日:11月26日 著者:佐々 涼子
https://bookmeter.com/books/8648447
■などらきの首 (角川ホラー文庫)
「こわいでしょお?」「こわいけど、面白いから、観てください」が楽しい、映画『来る』の予告編。映画では松たか子と小松菜奈演じる比嘉姉妹のシリーズだと聞いたら、やっぱり読むでしょ。『ぼぎわん』か『ずうのめ』か、せめて1作は読んでいないとつまらないかも。正統派の怪談もあれば、お口直し的な話も。映画で岡田准一演じるところの野崎が登場する話では、ほろり切ないものとぼぎわんを思わせるものと。いずれの話も小粒は小粒。でもいっそう比嘉シスターズのファンになりました。怖くてもちゃんと物を見なくてはという言葉、肝に銘じます。
読了日:11月28日 著者:澤村伊智
https://bookmeter.com/books/13135542
■ビストロ三軒亭の謎めく晩餐 (角川文庫)
フルネームで予約して初めて行った店で、「○○様ですね」と姓名の名のほうで呼ばれたら、引く。テーブルを担当してくれるギャルソンが「○○です」と名乗ったら、引く。そのギャルソンがエチケットの意味を知らなかったら、引く。職業や荷物の中身を詮索されても、引く。とにかく冒頭から引くことだらけで、どないやねんこれと思いました。こんなビストロがほんとにあっても私は行きたいとは思えないけれど、そのわりに最後まで結構楽しく読めたことは否定しません。軽いから、ドン引きも尾を引かない。良い暗示ならかかりたい。思い込みって大事。
読了日:11月29日 著者:斎藤 千輪
https://bookmeter.com/books/13068809
■本当はちがうんだ日記 (集英社文庫)
明日、私はとても怖い映画を観に行くのです。ここ50年でいちばん怖いという評判の。それで、怖くてどうしようもなくなったときに楽しい話を思い出せるように、穂村さんを読みました。なのに、嫉妬に狂って畳に箸をぷすぷすと刺した話とか、おふだのように貼り紙だらけのコンビニの話とか、怖いやんか。可笑しくて仕方のなかった『絶叫委員会』か『にょにょっ記』を再読すべきだったろうかとちょっぴり悔やみ、しかし「ツナ夫」に爆笑、以降そこそこ笑う。そういえば「ネ」は何処へ。なんだか恋しい。明日、怖くなったら「金額換算」を思い出そう。
読了日:11月30日 著者:穂村 弘
https://bookmeter.com/books/557451
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:5040ページ
ナイス数:1757ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly
■真実は間取り図の中に 半間建築社の欠陥ファイル (角川文庫)
欠陥案件って、手抜き工事などの見つかった物件のことかと思ったら、そうではないのですね。住人に体調不良が生じたり、幽霊騒ぎが起きたり。だけどその原因はオカルトではない。主人公の女大工・環奈が勤める建築会社の半間社長は、それを解決すること(だけ)が得意。増改築を繰り返す家の話に、うおっ、これはウィンチェスターハウスのようだわと思ったら、半間からその名前が出てきてワクワク。優しい目上の顧客にも敬語を使わない半間と、なんぼなんでもエラそすぎる環奈にちょっとイラッ。でも、間取り図って、見ているだけで楽しいんだなぁ。
読了日:11月01日 著者:皆藤 黒助
https://bookmeter.com/books/13068844
■静子の日常 (中公文庫)
爆発的に面白いわけではありません。だって、ここに描かれているのは、後期高齢者となったおばあちゃんの日常。息子一家と同居する静子さんは一見おっとり可愛らしい。しかしその実を知れば、やるな、婆ちゃんとニヤリ。何度かふきそうに。静子さんは、人が決めたことはそうでもないけれど自分で決めたことは絶対に守る人。まったくぶれない。そんな静子さんのことを家族が認め、畏れ、敬意を払っているのがいい。孫娘が爪切りを借りにきて言葉を交わすシーンがとても好き。すっとぼけた雰囲気なのに、ちょっぴり切ない。浮かないときには缶ビール。
読了日:11月03日 著者:井上 荒野
https://bookmeter.com/books/5052871
■スマホを落としただけなのに (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】原作と同じく、深みはないけれど娯楽性の高い作品でした。『ビブリア古書堂の事件手帖』とハシゴしたら、どちらも成田凌が怖すぎて笑いました。田中圭のなせる技か、原作の富田くんよりアホっぽくも軽くもなくて誠実そう。麻美の監禁場所は映画ならでは。蛭にビビる新人刑事役で千葉雄大が大活躍。キャストがそれぞれハマっていて楽しかったです。ラストの少し前、富田くんがスマホのフォルダを見るシーンで期せずして涙ぐんでしまい、こんなんで泣くか私とまた笑う。最後は中田監督らしく、嫌な感じで。
読了日:11月04日 著者:志駕 晃
https://bookmeter.com/books/11648502
■人魚の眠る家 (幻冬舎文庫)
脳の機能が停止したときを死とするか、心臓が停止したときを死とするか。ミステリー的要素は特になし。意識のない人が笑顔を浮かべるところを想像するとやはり怖い。しかしこれが自分の子どもなら、奇跡にすがりたくなるでしょう。娘の死と家族がどう向き合い、気持ちの整理をつけるかがドラマティックに描かれていて、470頁を一気に読ませるのはさすが。最近の東野圭吾には切なさが足りんと個人的には思うのですが(過去に何度もぼやいてすみません)、プロローグとエピローグは好き。「感涙」の映画になるかどうか。人は二度は死なない、か。
読了日:11月07日 著者:東野 圭吾
https://bookmeter.com/books/12828764
■間取りの手帖remix (ちくま文庫)
『真実は間取り図の中に』を読んだあと勢いづいて。全部で180頁足らず、そのほとんどが1頁につき1件の間取り図だから、30分もあれば一応「読了」はできます。しかし、間取り図の奥深さよ。何度でも繰り返し眺めたくなる。どの間取り図にもタイトルが付けられていて、最初の3件でふきました。ぐるり。つるり。ずるり。よくもこんなに楽しいタイトルを思いつく。「平成の人身御供」の記事は、ホントにあった話かと思ってしまいました。でも、六畳一間にそんなにワサワサと人は入って行けんやろ(笑)。妄想を掻き立てられる、愛おしい本です。
読了日:11月08日 著者:佐藤 和歌子
https://bookmeter.com/books/519105
■死刑にいたる病 (ハヤカワ文庫JA)
死刑判決を下された連続殺人鬼が、「8人は確かに殺したけれど、最後の1人はオレが殺したんとちゃう」とのたまう。その殺人鬼から請われて、「冤罪」を調べ始める大学生。美形で、礼儀正しくて、話術に富んでいて、誰もを虜にしてしまう殺人鬼。そんな奴がいると信じたくはないけれど、実際に巷で起きている事件を見れば、魅入られたように犯人のそばから動けなくなっているケースが多い。小説の中だけのことだとは言い切れません。絶望的。『赤と白』を読んだとき、もうちょい重さがほしいと書きました。今やもう、「おみそれしました」。絶望的。
読了日:11月09日 著者:櫛木理宇
https://bookmeter.com/books/12368771
■アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)
斉藤和義の『ベリーベリーストロング』の基となったこの連作短編集には、泥棒も殺し屋も出てこなければ大がかりな陰謀もありません。でも、この「出会い」に唸る。最初の2編で幸福感に包まれ、こりゃ私にとっては満点だと感極まりそうになったものの、全編そうとは行かなかったので、「かなり良かった伊坂幸太郎」ということで。テキトーだったりズケズケものを言ったりするけれど、人を傷つけない。そんな人たちに救われる。「あの時、あれがあの人でよかった」と思える相手に、もっと感謝しなくちゃ。最後は登場人物の相関図がほしいっす(笑)。
読了日:11月14日 著者:伊坂 幸太郎
https://bookmeter.com/books/12136344
■ちょっと一杯のはずだったのに (宝島社文庫 「このミス」大賞シリーズ)
スマホを落として殺人鬼に狙われるのと、酔っぱらって殺人犯の容疑をかけられるのとどちらがマシか。冤罪は大変だけど、サイコパスに追われるのは凄く怖い。『スマホ』のほうが面白かったよなぁと思いつつ、軽くて速攻で読めるのは同じ。B級映画にありがちな誤字「貸りる」が出てきてテンションが下がり、ここは酒の力を借りようと、ちょっと1杯、いや2杯。そうしたら、トリックが明かされる肝心のところで酔っぱらってしまい、理解できず。やっぱり読み終わるまでは飲んだらあかん。なんだこの最後のいい感じは。グッときちゃったじゃあないか。
読了日:11月15日 著者:志駕 晃
https://bookmeter.com/books/12861543
■もものかんづめ (集英社文庫)
かつて、う○こが立った経験を持つ私は、「快便の友」が聞いて聞いてと電話してこられた気持ちがよくわかります(笑)。しかし、う○こネタはまず間違いなくウケる。ゆえにこれで笑いを取ろうとするのはズルイ。早世されたらなおのこと、快便のお友達は思い出して笑い泣きしてしまいそう。さくらさんがお元気だったときに読むのと今読むのとではきっとずいぶん印象が変わる。健康に気を遣っていたのもわかる数々の話を切なく感じます。みんなが思い出してニッコリ笑ってくれたらいい、空の上でそうお思いになっているかもしれません。
読了日:11月16日 著者:さくら ももこ
https://bookmeter.com/books/550753
■人魚の眠る家 (幻冬舎文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】原作では存在感のあった、読み聞かせをする教師は映画版には出てきません。募金に関わるのは妻ではなく夫。へ〜っ。大人の演技がヒートアップしすぎて、私は若干冷め気味。しかし子役三人の演技には泣かずにいられない。眠ったまま睫毛一本動かさない女の子。そんな彼女を見続ける弟と従妹。プロローグとエピローグは映画版でも健在ですが、原作で印象的だった台詞が削られて、その代わりに映画版にしかないシーンや会話があります。わかりやすく泣けて万人受けしそう。奇跡を信じた人も多いのでは。
読了日:11月18日 著者:東野 圭吾
https://bookmeter.com/books/12828764
■カラヴィンカ (角川文庫)
彼女はそんなに酷い女ですか。最低の女ですか。凄まじい美貌の不幸な少女。男たちが勝手に、彼女をわかってやれるのは自分だけだと思い込んでいたように感じます。彼女は思わせぶりなことなんて何もしていない。彼女は人をかばって嘘をつく。結局、相手のことをいちばん考えていたのは彼女なのでは。『雪の鉄樹』と『アンチェルの蝶』と同様に重くて暗いけど、その2作ほどの圧倒的な余韻はありません。信頼していた人が急に変わる様子などにもいささか引き気味。それでも、たったひと言、彼女が聞きたかった言葉が明らかになったときはたまらない。
読了日:11月20日 著者:遠田 潤子
https://bookmeter.com/books/12341775
■億男 (文春文庫)
飛行機が墜落するよりも低い確率だというのに、宝くじの高額当選者ってそんなにいるのかとビックリ。お金では買えない幸せは確かにあるだろうけれど、悲しいかなそれがわかるのはお金を持ったことのある人だけなのでは。限られた額でちまちま買い物をする楽しさを私たちが知っていたとしても、金持ちならばちまちま買うことも店ごと買うこともできる。お金がないと選択肢もないわけで。おそらく著者は億男。そうなるまでに金に困った時期もあったなら、説得力のある話です。必要なのは勇気と想像力と少しの金、そう言えるようになってみたい(笑)。
読了日:11月22日 著者:川村 元気
https://bookmeter.com/books/12630164
■エンジェルフライト 国際霊柩送還士 (集英社文庫)
日本人が海外で死ぬ、外国人が日本で死ぬ。そんな場合の遺体の処置や移送も、普通の葬儀社がおこなっているのだと思っていました。国際霊柩送還士という職業があるなんて。遺体をゴミ同然に扱う国もあれば、扱う術を知らない国もある。各国各地に出向き、遺族の気持ちに寄り添った仕事をするエアハース社の面々に頭が下がります。まるで生きているかのようにではなく、故人は故人として、遺族がきちんとお別れできるように施すエンバーミング。しかし、故人の最期の願いを凄絶な遺体から知り得る場合もあるのですね。遺体と向き合い、払われる敬意。
読了日:11月26日 著者:佐々 涼子
https://bookmeter.com/books/8648447
■などらきの首 (角川ホラー文庫)
「こわいでしょお?」「こわいけど、面白いから、観てください」が楽しい、映画『来る』の予告編。映画では松たか子と小松菜奈演じる比嘉姉妹のシリーズだと聞いたら、やっぱり読むでしょ。『ぼぎわん』か『ずうのめ』か、せめて1作は読んでいないとつまらないかも。正統派の怪談もあれば、お口直し的な話も。映画で岡田准一演じるところの野崎が登場する話では、ほろり切ないものとぼぎわんを思わせるものと。いずれの話も小粒は小粒。でもいっそう比嘉シスターズのファンになりました。怖くてもちゃんと物を見なくてはという言葉、肝に銘じます。
読了日:11月28日 著者:澤村伊智
https://bookmeter.com/books/13135542
■ビストロ三軒亭の謎めく晩餐 (角川文庫)
フルネームで予約して初めて行った店で、「○○様ですね」と姓名の名のほうで呼ばれたら、引く。テーブルを担当してくれるギャルソンが「○○です」と名乗ったら、引く。そのギャルソンがエチケットの意味を知らなかったら、引く。職業や荷物の中身を詮索されても、引く。とにかく冒頭から引くことだらけで、どないやねんこれと思いました。こんなビストロがほんとにあっても私は行きたいとは思えないけれど、そのわりに最後まで結構楽しく読めたことは否定しません。軽いから、ドン引きも尾を引かない。良い暗示ならかかりたい。思い込みって大事。
読了日:11月29日 著者:斎藤 千輪
https://bookmeter.com/books/13068809
■本当はちがうんだ日記 (集英社文庫)
明日、私はとても怖い映画を観に行くのです。ここ50年でいちばん怖いという評判の。それで、怖くてどうしようもなくなったときに楽しい話を思い出せるように、穂村さんを読みました。なのに、嫉妬に狂って畳に箸をぷすぷすと刺した話とか、おふだのように貼り紙だらけのコンビニの話とか、怖いやんか。可笑しくて仕方のなかった『絶叫委員会』か『にょにょっ記』を再読すべきだったろうかとちょっぴり悔やみ、しかし「ツナ夫」に爆笑、以降そこそこ笑う。そういえば「ネ」は何処へ。なんだか恋しい。明日、怖くなったら「金額換算」を思い出そう。
読了日:11月30日 著者:穂村 弘
https://bookmeter.com/books/557451