『家なき子 希望の歌声』(原題:Remi sans Famille)
監督:アントワーヌ・ブロシエ
出演:ダニエル・オートゥイユ,マローム・パキャン,ヴィルジニー・ルドワイヤン,ジョナサン・ザッカイ,
アルバーヌ・マッソン,ニコラス・ロウ,ゾーイ・ボイル,ジャック・ペラン,リュディヴィーヌ・サニエ他
声の出演:山路和弘,熊谷俊輝他
仕事帰りに109シネマズ大阪エキスポシティにて2本ハシゴの2本目。
1本目に観た『STAND BY ME ドラえもん2』はぽつぽつ客が入っていたけれど、
本作は私だけ。今年何度目の“おひとりさま”だっけ。
1878年に発表されたエクトール・アンリ・マロの児童文学。
いったいどれだけの国で映像化されたことか。
日本でもアニメ等で映像化されていますが、
これを原作としない『家なき子』もありますよね。
すぐに思い出されるのはやはり安達祐実の「同情するなら金をくれ!」か。
監督はフランス出身のアントワーヌ・ブロシエ。
キャストもフランスを代表する面々です。
字幕版を観たかったけれど、日本語吹替版の上映しか見当たらず。
ジャック・ペランが『ニュー・シネマ・パラダイス』(1988)のときと同じように、
主人公である少年の壮年期を演じています。
冒頭に登場するのは、夜中に目覚めた男の子がケーキをつまみぐいするシーン。
その後ろからふいに現れた上品な壮年の男性が、男の子にお茶を淹れ、
自身が子どもだった頃の話を始めます。
話の続きを聴こうと次々と集まってくる子どもたちを見れば、
この屋敷が孤児院で、おそらく壮年男性はその経営者であることがわかる。
レミは赤ん坊のときに捨てられ、ある村の夫婦に拾われた。
自分が捨て子だったと知らずに11歳まで育ったレミは、
夫婦のことを実の親だと信じていた。
ママはレミに無償の愛を注いでくれるが、パパはレミを疎み憎んでいる。
そもそも拾った理由からして、いつか金になるかもしれないと思っていただけ。
パパから連れ出されたレミは、孤児院に入れられそうになる。
必死で抵抗するレミを金で買ったのが旅芸人ヴィタリス。
てっきり酷い扱いを受けるのだと思ったら、
ヴィタリスはレミを傷つけることなんてまったくなし。
芸達者な犬のカピ、猿のジョリクールと共に各地を回っては日銭を稼ぎ、
レミにも居場所を与えてくれる。
ヴィタリスはレミに歌の才能を見出し、歌を続けるように言う。
なぜか昔から知っている、頭にこびりついて離れない曲を楽譜に書き留め、
レミはそのメロディーを口ずさみ続けるのだが……。
ひとりでのびのびとエグゼクティブシートのど真ん中に座り、ゆったり鑑賞。
もっと辛い物語だったような気がしていたので、
このぐらいの悲劇ならわりとオッケー(笑)。
富裕な家族のもとで日々芸を披露することになったとき、
車椅子に乗る美少女リーズがいて、彼女はレミに心を許します。
その様子を見たリーズの母親が、このままレミにはずっと居てほしい、
執事になるための教育を受けさせるからというのが面白いですねぇ。
ヴィタリスはきっぱり言う、レミは執事ではなくリーズに結婚を申し込める奴になると。
大道芸を取り締まる警官が横柄だったり、
レミが御曹司であることが明らかになった折に図られる陰謀だったり、
何か時代を感じつつも、今も形が多少違えどもこんなことあるかもと思うのでした。
世紀を超えて語り継がれ、映像化もされ続けるのは、理由があるんだなぁ。