夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈か行〉

2020年12月27日 | 映画(か行)
《か》
『完璧な他人』(英題:Intimate Strangers)
2018年の韓国作品。
イタリア作品『おとなの事情』(2016)のリメイク。
新築祝いのパーティーに集まった3組の夫婦と1人の独身男性。
男性4人は幼なじみで、疎遠になった期間などない親友同士。
妻のうちの1人が、互いに隠し事がないことを証明するためにゲームを提案。
それは各自のスマホをテーブルの上に出し、
今からかかってくる電話と届くメールをすべて公開するというゲーム。
それぞれにドギマギしながらも面白そうだと話に乗るが、
浮気相手からの画像が送られてきたり、愚痴をこぼしている相手からの電話だったり、
秘密が次々と暴露されてシャレにならない雰囲気と化してきて……。
お国柄みたいなものが反映されてオリジナル版とは異なる楽しさがあるのかと思ったら、
ほぼ同じなうえに、こっちのほうがブラックユーモア度が低い。
夫婦間の悩みやトラブルってもしかすると万国共通なのでしょうかね。
イ・ジェギュ監督は今までの時代物路線のほうが面白い。
俳優陣にしたって日本でも馴染みのある顔ぶれだけにもったいない。
新年には日本版も公開されます。ちょっと楽しみ。

《き》
『北の果ての小さな村で』(原題:Une Annee Polaire)
2017年のフランス作品。
デンマーク人の青年アンダースは、1年後に家業を継ぐことを両親に約束し、
グリーンランドの人口わずか80人の村チニツキラークに教師として赴任する。
村人たちから崇められると思いきや、子どもたちは授業を聴く気なし。
大人たちも勉強より猟のほうが大事だと考えていて、平気で学校を休ませる。
グリーンランド語もわからず、疎外感ばかりを募らせるアンダースだったが……。
独特のテンポにちょっと違和感を覚えます。素人くさいというのか。(^^;
上から目線だったアンダースが村に馴染んでからはいい感じ。
自分の常識に村人たちを当てはめようとしては駄目なんですねぇ。
フランス出身のサミュエル・コラルデ監督はグリーンランドに魅せられて本作を撮ったとのこと。
確かに魅力的だなぁと思いました。だからって私がここに住めるとは思えない。
だって映画を観られないんだし(笑)。

《く》
『クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅』(原題:The Extraordinary Journey of the Fakir)
2018年のフランス/アメリカ/ベルギー/シンガポール/インド作品。
ロマン・プエルトラスの世界的ベストセラー『IKEAのタンスに閉じこめられたサドゥーの奇想天外な旅』を
『人生、ブラボー!』(2011)のケン・スコット監督が映画化。
インドのムンバイ大道芸人をして暮らす青年アジャは、
シングルマザーだった母親の死をきっかけに、
会ったことのない父親が住むはずのパリにへ行く。
憧れの家具店を訪れたアジャは、売場で出会ったアメリカ人女性マリーに一目惚れ。
翌日また会う約束を取り付けることに成功するが、
金のないアジャは、閉店した家具店のクローゼットでその夜を過ごすことに。
ところが彼が寝ている間にクローゼットがロンドンまで運び込まれてしまい……。
人生何が起ころうとも、良き心を持ち続ければなんとかなる。
行く先々で出会う女優や友人たちとのあれこれが楽しかった。
アジャが踊るシーンも楽しくて、ちょっとしたボリウッド作品。劇場で観たかった。

《け》
『権力に告ぐ』(英題:Black Money)
2019年の韓国作品。“のむコレ 2020”で上映されたときに観逃してDVDで鑑賞。
ソウル地検のゴリ押し捜査で有名な検事ヤンは、停職処分を告げられる。
彼が聴取した女性スギョンが、ヤンにセクハラをされたと遺書を残して自殺したから。
まったく身に覚えのないヤンは、自らの汚名をそそぐべく捜査を開始。
大韓銀行職員のスギョンは、実は大検察庁捜査部からも召喚されて怯えていたらしい。
ちょうどその頃、大韓銀行は信じがたい安値でファンドに売却されたのだが、
その売却が虚偽の報告書に基づいており、まさにその報告書を金融監督院に送ったのがスギョンで……。
経済に疎いもので、起きていることはよくわからないのですけれども、
『国家が破産する日』(2018)と同じような状況下。
ヤン役のチョ・ジヌンの演技がコミカルで可笑しく、シリアスな内容も楽しく観られました。
それにしても、世の中は金持ちが必ず儲かるようにできているもんですねぇ。

《こ》
『工作 黒金星と呼ばれた男』(英題:The Spy Gone North)
2018年の韓国作品。
北朝鮮に潜入した実在の韓国工作員の話を映画化。
1992年、韓国軍の将校パク・ソギョンは、国家安全企画部の室長に呼び出される。
任務はスパイとして北に潜入し、核開発の実情を探ること。
黒金星(ブラック・ヴィーナス)というコードネームを与えられたパクは、
酒を飲み歩いて借金をつくり自己破産、韓国軍をクビになったと見せかける。
実業家になりすまし、北の重要人物とされる北京駐在の対外経済委員会所長リ・ミョンリに接触するのだが……。
スパイとはなんと過酷で孤独な職業なのか。
自国のために働く両者が嘘で塗り固められたやりとりの中でも心を通わせ、
信じられるのはお互いだけということになったとき。
色っぽい話は何もなし。ひたすら骨太ですごく良かった。

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今年観た映画50音順〈あ行〉

2020年12月27日 | 映画(あ行)
19回目となりました。恒例におつきあいください。
 
劇場鑑賞した作品についてはすべて1本立てでUPしているため、
これは正確には「今年DVDあるいはAmazonプライムビデオで観た作品50音順」です。
そろそろこれを始めないと年内に終われなくなりますから。
 
あくまで書きそびれていた作品を挙げているだけなので、
好きだったとか嫌いだったとかは関係なし。
どれも今年レンタル開始等で視聴可能となった作品です。
ネタバレ御免。
 
《あ》
『アマンダと僕』(原題:Amanda)
2018年のフランス作品。
パリのアパートに住まわせてもらう代わりに管理人を務める青年ダヴィッド。
新規入居者の出迎え、枝打ち、何でもやる便利屋のようなことが仕事。
姉サンドリーヌはその娘アマンダを育てるシングルマザーだったが、
ある日、公園で無差別テロに遭って亡くなってしまう。
ダヴィッドと姪っ子に当たるアマンダはとても仲が良いが、
養子として引き取るとなると責任の重さが今までとは違いすぎて……。
ダヴィッド役はこれがデビュー作となるイゾール・ミュルトリエ。
美形すぎない美形で、アマンダを見つめる優しいまなざしが凄く良い。
母親の話に触れようとせずに明るく振る舞うアマンダが、
友だちと食事するというダヴィッドを引き留めて、
叔父さんと一緒に居たいとダダをこねたのちに、
泣きべそをかきながらも「良い夜を」とダヴィッドを見送ります。(T_T)
大切なひとやものを失った彼らが生きて行こうとする姿がよかった。
 
《い》
『インビジブル・ウィットネス 見えない目撃者』(原題:l Testimone Invisibile)
2018年のイタリア作品。
スペイン作品『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』(2016)のリメイクで、
著名な青年実業家アドリアーノは、愛人ラウラと密かに旅行中、
山道で対向車を避けて事故に遭う。相手は山壁に激突して死亡。
即座に通報するべきだが、浮気がバレれば仕事に支障を来す。
相手を車ごと湖に沈め、何食わぬ顔をしてその後を過ごす。
ところが後日、ラウラがホテルの一室で死亡。
一緒にいたアドリアーノが殺人の疑いで逮捕される。
金にモノを言わせて事態の収拾を図り、一旦釈放されるが、
無罪を勝ち取ろうと、敗訴歴のない女性弁護士フェラーラに相談。
さっそくやってきたフェラーラに何もかも話すのだが……。
アドリアーノ役のリッカルド・スカマルチョの顔がちょっぴり苦手です。
苦手な顔だからというわけでもないのでしょうが、
こいつがホントに自己チューな悪い奴で。
最初はラウラが悪女に思えるのですが、終わってみれば、アドリアーノ最悪。
事故の相手の両親の執念が実り、アドリアーノは奈落の底へ突き落とされます(笑)。
ラウラ役のミリアム・レオーネ、めっちゃ美人。
 
《う》
『ウィーリー ヒロイン救出大作戦!!』(原題:Wheely)
2018年のマレーシア作品。擬人化された車のアニメ。
レーサー(=レースカー)のウィーリーは、優勝を目前にして大クラッシュ。
車軸が歪んで再起不能となり、タクシーに転職する。
彼のクラッシュの原因をつくったスクーターのパットパットは、
ウィーリーのことが気がかりで仕方なく、いつも彼のそばにいる。
ある日、ウィーリーは女優ベラ(=イタリア車)の命を救う。
彼女に一目惚れしたウィーリーは彼女と再会を果たそうとするが、なかなか叶わない。
そんな折、高級車を狙う誘拐団がベラ誘拐を目論んで……。
この手のアニメとなると『カーズ』(2006)を思い出さずにはいられません。
バッタモン感は否めませんが、それなりには面白かった。
金に目がくらんで違法レースに出場することを自分で決めておきながら、
「僕はハメられただけ、悪くない」と言い張るウィーリーには苦笑い。
誘拐団ももちろん車です。悪代官みたいなツラが可笑しい。
 
《え》
『エンテベ空港の7日間』(原題:Entebbe)
2018年のイギリス/アメリカ/フランス/マルタ作品。
1976年6月27日に起きた実在のハイジャック事件を映画化。
イスラエル・テルアビブからパリへ向けて出発したエールフランス139便がハイジャックされる。
犯人は男性3名、女性1名で、そのうち2人はパレスチナ人、
残る2人は、パレスチナに同調する西ドイツの過激派組織メンバーの男女。
飛行機はウガンダのエンテベ空港へ降り立ち、
ハイジャックを支持する立場のアミン大統領が犯人と人質を歓迎する。
犯人側の要求は、囚われている仲間たちの釈放。
イスラエル政府内では交渉に応じようとする者と断固反対の者が対立し……。
7日間に渡る人質解放交渉と救出劇“サンダーボルト作戦”の全貌が描かれています。
ロザムンド・パイク戦場記者役を演じていたかと思えば、
本作ではハイジャック犯。真逆の役ですが、どちらもハマっています。
国防大臣役のエディ・マーサンがよかった。
 
《お》
『オンネリとアンネリとひみつのさくせん』(原題:Onneli, Anneli ja Salaperäinen muukalainen)
2017年のフィンランド作品。
マリヤッタ・クレンニエミの同名児童文学を映画化した“オンネリとアンネリ”シリーズの第3弾。
第1弾の『オンネリとアンネリのおうち』(2014)は劇場で鑑賞しました。
バラの木夫人から譲り受けた素敵な家で日々を幸せに過ごす、
ふたりの仲良し少女オンネリとアンネリ。
ある日、彼女たちの家の前に「子どもの家」なるものが現われる。
孤児たちが暮らすその家はまるで強制収容所。
女所長のミンナ・ピンナは孤児たちを番号で呼び、厳しいルールで縛りつけている。
そこから逃げてきた少年ベッキから「子どもの家」の実態を聞いたオンネリとアンネリは、
外に出られずにいる孤児たちを救出すべく、秘密の作戦を決行するのだが……。
なんとも愛らしい。
ふたりの味方になるお隣の魔法使い姉妹、警官のリキネンさんとその奥さんがすごくイイ。
もちろん教育的にも良い内容になっていて、ミンナ・ピンナが仕返しされて終わりとかではありません。
家族で楽しめる作品です。

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