『ほんとうのピノッキオ』(原題:Pinocchio)
監督:マッテオ・ガローネ
出演:ロベルト・ベニーニ,フェデリコ・エラピ,ロッコ・パパレオ,マッシモ・チェッケリーニ,
マリーヌ・ヴァクト,ジジ・プロイエッティ,パオロ・グラジオッシ,マリア・ピア・ティモ他
ヤケ映画の2本目。
1本目と同じく大阪ステーションシティシネマにて。
マッテオ・ガローネ監督の作品はいつも、すごく良かったとかじゃないのに、
ただいつまでも頭の中に残ります。不穏な雰囲気がたまらない。
『五日物語 3つの王国と3人の女』(2015)も『ドッグマン』(2018)もそう。
“ピノッキオ”はイタリアの作家カルロ・コッローディによる児童文学。
1880年代に出版され、今なお読み継がれている物語です。
でも、小さいころ読んだこの話をあまり覚えていません。どんな話でしたっけ。
ピノッキオと名付けられた木の人形で、嘘をつくと鼻が伸びる。
その程度の記憶しかないんです。こんなに試練がありました?
ある日、木工職人のジェペットは、近所にやってきた移動人形劇に目を奪われる。
自分もあんな人形を作れるのではないかと考えた彼は、
サクランボ親方のもとを訪ね、丸太を分けてほしいと頼む。
ちょうどその直前、するすると勝手に動く丸太に驚いていたサクランボ親方は、
一も二もなくジェペットにその奇妙な丸太を持ち帰らせる。
勝手に動く丸太だとは思いもしないジェペットは、さっそく人形を作り始める。
するとその人形がしゃべり出す。
びっくりしつつも、まるで子どもができたようだと大はしゃぎするジェペット。
その人形をピノッキオと名付けて可愛がる。
しかしなかなかやんちゃなピノッキオは、ジェペットの言うことを聞こうとしない。
勝手に駆け出すわ、わがままを言うわ、好き放題。
ジェペットが自らの衣類を売ってまで用意した教科書をピノッキオはひそかに買い戻させると、
その金で移動人形劇を観に。楽しくて仕方がない。
そしていつのまにか一座と一緒に車に乗せられてしまって……。
すぐに泣くおしゃべりコオロギだとか、床をぬるぬるにするカタツムリとか、
人面魚みたいなマグロとか、ダークな感じが面白い。
ゴリラの裁判長の裁判などは、善人が投獄されて悪人は生き延びるのが世の中だと言いたげで、
ピノッキオってこんなに奥深い話だったんだなぁと今さらながら驚きます。
妖精役のマリーヌ・ヴァクトがとても美しいと思ったら、
イヴ・サンローランやルイ・ヴィトンのモデルなのですね、この人。
『フランス、幸せのメソッド』(2011)にモデル役で出演したのが女優になるきっかけとのこと。
そのときはまだ20歳。30歳になった今、さらに美しい。
ピノッキオを騙す男ふたりの描写がかなり気持ち悪いし(笑)、
ハリウッド作品とはまるで違うから、万人受けはしそうにありません。
ジャン=ピエール・ジュネがお好きな人なんかはお気に召すのでは。
ヨーロッパのファンタジーだなぁ。