『巴里祭』(原題:Quatorze Juillet)
監督:ルネ・クレール
出演:アナベラ,ジョルジュ・リゴー,レイモン・コルディ,ポーラ・イルリ,
レイモン・エイムス,トミー・ブールデール,ポール・オリヴィエ他
ルネ・クレール監督の1933年の作品。
4Kデジタル・リマスター版がテアトル梅田にて公開されています。
『恐るべき子供たち』(1950)のリマスター版も公開中なのですが、
この日はなんとなく明るい気分になれるほうを観ようと思いました。
7月14日はフランス革命記念日。その前日、13日の活気溢れるモンマルトル。
裏通りに面したアパルトマンに暮らすアンナと、
向かいのアパルトマンに住むジャン。お互いのことが気になっている。
タクシー運転手のジャンは、同業者のキャビーと共に、
アンナを誘って踊りに行き、このうえなく楽しい一夜を過ごす。
恋人になったはずのふたりなのに、ジャンが自室に戻ると、
そこにはジャンの元カノ、ポーラが居座っていた。
即刻ポーラを追い出そうとするジャンだったが、ポーラは動かない。
致し方なく明日には出て行くようにと告げて、ジャン自身が出て行く。
翌日、ジャンの留守中に部屋を訪ねたアンナは、
見知らぬ女がいることに衝撃を受け、何も知らぬジャンに冷たい態度を取ってしまい……。
こうして書いてみると、ありがちな話ですよね。
誤解した女が男を振り、振られた男は自棄になって悪行に走るという。
なんちゅうことはないから睡魔に襲われるかもと思いきや、
なんでしょう、テンポがいいのか、結局寝ずに最後まで。
くっついたり離れたりのふたりのことをアホくさと思いながらも退屈せずに観ました。
ポーラがまた悪いんですよ。
どうしてこんな女に一時的にでも惚れたのか、
アンナに振られたらすぐに元サヤに戻ることを選ぶのか不思議。
男女の仲なんて百年近くたっても同じなんだと思いました(笑)。
原題の“Quatorze Juillet”の意味は単に「7月14日」。
これじゃ邦題にしづらいと考えて「巴里祭」にしたのだとか。
それが日本で浸透して、日本人だけが「パリ祭」と言うらしいというのは面白いことですね。