『テレビで会えない芸人』
監督:四元良隆,牧祐樹
京都シネマにて、前述の『なん・なんだ』の次に鑑賞。
鹿児島出身の芸人、松元ヒロ。
かねてからいろんな人に「面白いよ」とYouTubeなどで観るように勧められていました。
しかしそこに時間は割かないまま月日が過ぎ、ようやく私にも観る機会が訪れたのは、
『誰がために憲法はある』(2019)が十三・第七藝術劇場で上映されたときでした。
こんなライブやっている人がいるのかと驚き、感動すらおぼえたものです。
そのヒロさんをもっと知るにはうってつけの作品がこれ。
もともとはテレビにもよく出ていた、というのかテレビに出たくて芸をしていたヒロさんが、
1990年代末にはテレビの世界から距離を置きはじめます。
歯に衣着せぬ政治風刺は規制が多すぎるテレビに向かない。
言いたいこと、言うべきことを言うため、ヒロさんは舞台の人になります。
テレビで会えない芸人に密着取材する作品を鹿児島テレビ放送が作る。
日の目を見ない可能性もあったでしょうが、こうしてしっかり劇場公開されて嬉しい。
舞台の様子、そこに至るまでの練習の風景、家族の話、どれをとっても面白い。
電車の中で優先座席に座ってスマホをいじる女子に注意した奥様と、
気まずそうなその女子をフォローするヒロさんの話には大笑い。
『こんな夜更けにバナナかよ』の映画版は私は好きになれなかったのですが、
ヒロさんが舞台で話す姿を見て、原作も読んでみようと思いました。
いつもニコニコ。でも言っていることは辛辣。
辛辣だけど、人格を否定するようなことはできるだけ言わないように心がける。
政治家についてはちょっと言っちゃうこともあるけれどと舌を出す。
永六輔や立川談志からも可愛がられていたヒロさん。
「(日本国憲法)9条を頼む」という永さんの遺言を守るため、「憲法くん」を演じ続ける。
「70年間、誰も殺さなかった。それが僕の誇り」という台詞は、聴くたびにジワッ。
舞台を観に行きたいですねぇ。