『別れる決心』(英題:Decision to Leave)
監督:パク・チャヌク
出演:タン・ウェイ,パク・ヘイル,イ・ジョンヒョン,パク・ヨンウ,
コ・ギョンピョ,キム・シニョン,ユ・スンモク,パク・ジョンミン他
イオンシネマ茨木にて。今年2度目の“おひとりさま”でした。
こんなにも客入りがよろしくないのに、字幕版と吹替版が上映されているのは何故?
洋画は字幕で観る派ですが、これは韓国作品。
どうせ韓国語はまったくわからんからええかと、上映時間の都合で吹替版を観ました。
ほ~、ここでも声優に沢城みゆき姐さんの名前が。大活躍。
『オールド・ボーイ』(2003)を観たときの衝撃が忘れられません。
あのパク・チャヌク監督の作品だから、えげつないに決まっている。
でも吹替版だったせいなのか、そこまで残虐なシーンがないせいなのか、わりとマイルド。
刑事の鑑のように生真面目なチャン・ヘジュンは、妻のジョンアンと週末婚。
休日以外は仕事一筋、その日も男が岩山で滑落死した事件の捜査に出向く。
死亡した男は出入国・外国人庁(旧・出入国管理事務所)の職員キ・ドス。
彼の妻で中国人のソン・ソレは、夫の死を聞いても驚く様子なく、笑顔さえ見せる。
夫から虐待を受けていた可能性もあるソレをヘジュンは疑う。
疑念を抱きつつも、張り込みでソレの動きを見つめるうちに彼女に惹かれるヘジュン。
一方のソレはヘジュンに見張られているのを楽しむかのよう。
やがてドスの死は自殺と断定され、ヘジュンとソレが会う理由はなくなるのだが……。
最近、なんだか長尺の作品が多い。これも138分あります。
わりと淡々と進んでゆく話に睡魔が来るかと心配しましたが、それは一切なし。
面白かったけれど、物足りなさも感じるのはキャストのせいなのかなぁ。
『ラスト、コーション』(2007)で凄まじい濡れ場を演じたタン・ウェイがソレ役。
顔からして真面目なヘジュンには『王の願い ハングルの始まり』(2019)のパク・ヘイル。
ふたりがどうにも別れられずに惹かれ合うという設定なのでしょうけれど、
ソレのほうはそうでもなくてヘジュンを弄んでいるようにしか私には見えないのです。
好きでもないのに損得勘定で最初の男と結婚したソレ。
その男が亡くなるとヘジュンのもとを去り、再会した折にはチャラ男と同伴。
見た目もすれた風で、この女になぜ惹かれてしまうのかと思う。
ただ、こういうイメージがあったからこそ、終盤はかなり切ない気持ちに。
ヘジュンを利用しているだけに見えたソレが、本当は心の底からヘジュンを愛していて、
彼に迷惑がかからないように、彼の人生を台無しにしないようにと考えてやったこと。
真実を知った男はもう立ち直れないと思いますよ。ちゃいますか。
客席に私ひとり、贅沢に鑑賞させてもらいました。
もったいないけど、地味な作品だしなぁ。
それにここまで真面目な顔つきな男ではないほうが私は好き(笑)。