『遥かな時代の階段を』
監督:林海象
出演:永瀬正敏,南原清隆,佐野史郎,杉本哲太,大嶺美香,塚本晋也,松田圭司,
麿赤兒,梶原善,宍戸錠,岡田英次,鰐淵晴子,白川和子、坂本スミ子他
109シネマズ箕面にて。
林海象監督による“私立探偵 濱マイク”シリーズ3部作が製作されたのは、1993年から1996年のことでした。
その4Kデジタルリマスター版が先日来公開されているのですが、第1作『我が人生最悪の時』はスルーしました。
観るものがないとぼやくぐらいならスルーすべきではなかったと後悔しています。
そして今、やっぱり観るものがなくなって、第2作は飛ばさずに観ることにしたのですけれど、
この作品も、後にTVドラマ化された作品も、1本も観たことがありません。
永瀬正敏の代表作だというのに、ずっとスルーしていてごめんなさい。果たして話について行けるのでしょうか。
原作はアメリカ人小説家ミッキー・スピレインのハードボイルド探偵小説“マイク・ハマー”シリーズ。
「濱マイク」とは上手く名づけたもので。
私立探偵の濱マイクは、横浜の黄金町に実在した映画館「横浜日劇」の2階に事務所を構え、
妹とふたりで暮らしているという設定なのだそうです。
横浜日劇といえば、1953年に開館した地元密着型の映画館ですが、2005年に閉館してしまいました。
解体作業も進み、現在跡地にはライオンズマンションが建っているとか。
濱マイク(永瀬正敏)は、まだ幼かった頃に自分と妹の茜(大嶺美香)を捨てた母親リリー(鰐淵晴子)が、
ストリップ小屋“黄金劇場”のステージに上がっていることを友人たちから知らされる。
茜には母親は死んだと話していたマイクは、余計なことをしないようにとリリーに釘を刺す。
一方、伊勢佐木署の刑事・中山(麿赤兒)は、川の利権のことでやきもきしていた。
戦後の闇市の時代からずっと、なぜか川の利権は“白い男”(岡田英次)に握られており、
警察もヤクザも暗黙の了解のうち、“白い男”には手出しをせずに来ている。
“白い男”が川沿いのスナック“幸子”のママ(白川和子)に仕事をさせていることを知った中山は、
その証拠を掴むよう、半ば脅し気味にマイクに依頼するのだが……。
永瀬正敏が若くてカッコイイ。ほかのキャストも今なお活躍中の人が多く、楽しい。
組長がアカンと言っているのに“白い男”に手を出す組員に塚本晋也と松田圭司。
宍戸錠と岡田英次は残念ながらもうこの世にはいませんけどねぇ。
マイクを“白い男”のところへ案内するのは坂本スミ子演じる実在の老娼婦メリーさん。
『ヨコハマメリー』(2005)を観たときは衝撃を受けましたから、
それに比べると本作のメリーさんはずいぶん綺麗で普通です。
ところどころ、林海象っぽい。“白い男”のアジトへの道中などはまさにそう。
面白かったので、第3作も劇場で観たいと思っています。第1作も観ればよかったなぁ。
TVドラマシリーズは配信で観られるようですが、劇場版も観られないのかな。
エンドロールで助監督の欄に行定勲監督の名前を見つけて、おおっ!
『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004)の大ヒット以降、押しも押されもせぬメジャー級監督だけど、
この前日に観たばかりの『リボルバー・リリー』がヒドすぎて。(^^;