夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『どん底作家の人生に幸あれ!』

2021年02月13日 | 映画(た行)
『どん底作家の人生に幸あれ!』(原題:The Personal History of David Copperfield)
監督:アーマンド・イアヌッチ
出演:デヴ・パテル,アナイリン・バーナード,ピーター・キャパルディ,ロザリンド・エリーザー,
   ヒュー・ローリー,ティルダ・スウィントン,ベン・ウィショー,ベネディクト・ウォン他
 
第七藝術劇場で2本観たあと、車を十三に置いたまま梅田へ。
動かなくなった腕時計を2個携えて時計屋へ立ち寄り、
電池交換をお願いしたら、15分ぐらいかかるとのこと。
映画の上映開始時間が5分後に迫っていたため、
後ほど取りに来ますと伝えて大阪ステーションシティシネマへ走る。
 
原題に出てくる名前“David Copperfield”、デイヴィッド・コパフィールドは、
英国の文豪チャールズ・ディケンズの半自伝的小説のタイトル。
その『デイヴィッド・コパフィールド』をアーマンド・イアヌッチ監督が映画化。
主演は「男の子」というにはちょっと歳取り過ぎの感あるかも(笑)、デヴ・パテル
『スラムドッグ$ミリオネア』(2008)のときは確かに少年だったけど、
あれからもう13年も経っているのですから。彼ももう30歳。
 
少年デイヴィッド・コパフィールドは、この世に生まれる前に父親を亡くしていたものの、
貴族で美しく優しい母親クララと献身的な家政婦ペゴティに囲まれ、幸せに暮らしていた。
ところが、母親が暴力的な男性と再婚して人生が一変。
従順な態度を取らないデイヴィッドは、都会の工場へと売り飛ばされてしまう。
 
里親となったのは、善人ながら借金まみれのミコーバー一家。
工場では耐えがたい強制労働を強いられたが、なんとか生き抜くデイヴィッド。
しかし、ミコーバーが全財産を取り上げられたうえに投獄される。
それと前後して母親が病死したことを継父から知らされたデイヴィッドは居場所を失う。
 
工場から脱出したデイヴィッドは、唯一の身内である大伯母ベッツィを訪ね、
これまでの状況を伝えて身を寄せさせてもらうことに。
裕福なベッツィのおかげで上流階級の名門校に通いはじめたデイヴィッドだったが……。
 
ベッツィ役のティルダ・スウィントンが強烈。
彼女の弟がデイヴィッドの父親で、弟の他界後に産気づいたクララのもとを訪れ、
「生まれてくる子は絶対に女の子だ」と言い張り、
悪い虫がつかないように育てる気満々でした。
なのに生まれてきたのが男の子デイヴィッドだったから、
興味を失ったかのようにそのまま疎遠に。
ティルダ演じる役柄の女性がこれっきりで終わりなんてあり得ないと思っていたら、
やはり途中で再登場。素晴らしい女優です。
 
人生つらいこともあるけれど、生きていればいいことに巡り逢える。
登場人物全員にクセがあり、観ている者を飽きさせません。
主人公を含め、人を見下したり嘲ったりする態度を取る様子に
ちょっと嫌な気がすることもあったけど、人の振り見て我が振り直せ、ですね。
 
170年以上も前に書かれた原作を読みたいです。

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『ロックンロール・ストリップ』

2021年02月12日 | 映画(ら行)
『ロックンロール・ストリップ』
監督:木下半太
出演:後藤淳平,徳永えり,智順,三戸なつめ,坂口涼太郎,ぎぃ子,町田悠宇,
   宇野祥平,品川祐,伊舞なおみ,やべきょうすけ,木下ほうか他
 
第七藝術劇場にて『陶王子 2万年の旅』を観たあと、
本作上映開始までの25分間に線路向こうの郵便局へ行き、
銀行へも走り、息ぜぇぜぇ言わせながらナナゲイに戻る。
 
木下半太の自伝的小説を自ら監督して撮り上げた作品。
半太作品のファンなので観ないわけにはいきません。
原作も読んだつもりでいたのに、観始めて気づく、私これまだ読んでない。
読了していた『ビデオショップ・カリフォルニア』と混同していました。
本作の原作はまだ積読の山の中でした。
すぐに読まなきゃと思うほど、この映画版は面白い。
→読みました。レビューはこちら
 
映画監督を夢見るも芽が出そうにない木村勇太(後藤淳平)は、
売れない劇団“チームKGB”の座長。
天神橋筋商店街の劇場のまばらな客たちからも酷評されまくり。
 
長く交際中の栗山千春(徳永えり)はそんな勇太の味方ではあるものの、
商店街の会長を務める彼女の父親(木下ほうか)はイラつき、
母親(伊舞なおみ)も娘を不憫に思うのか泣き出しそう。
 
ある晩、勇太が経営するバーにやってきたのは、
東洋ミュージックストリッパー、旭川ローズこと冬音(智順)。
勇太に才能を感じるという彼女の言葉が嬉しくて、
酔っぱらった勢いで一夜を共にしてしまったのち、
冬音からストリップの前座に芝居を頼まれて断れずに引き受けるのだが……。
 
勇太役の後藤淳平がお笑いコンビじゃるじゃるの人だとは知らずに観ていました。
知らん役者やけどこの役にドハマリしてるし、
結構ええ顔、ちょっと鳥谷に似てる?なんて思っていたら。へ~っ。
 
ほかにも品川庄司の品川祐、とろサーモンの村田秀亮、
インパルスの堤下敦、バッドボーイズの佐田正樹などが出演しています。
やべきょうすけも相変わらずワラかしてくれる人。
東洋ミュージックに寝泊まりする自称糖尿病で目が見えないオッサンに宇野祥平
目ぇ見えへんから照明係なんてできへんと言いながら女性の胸を鷲掴みに。
 
TM NETWORKの“Get Wild”がピッタリ。
この熱さはたまらん。楽しい。みんなで踊りたくなる。
何があっても夢は絶対にあきらめない、その意気があったからこそ。
「何これ。サイコーやん」、ほんまにそのとおり。
 
そりゃこんな人生送ってきた人の舞台は面白いに決まっている。
いつも「しょーもな」と思いながら読んでしまうのが半太作品なのですが、
これからもそうやってアホくさと笑いながら読み続けると思います。
 
「夢は眠っている間に見るものではない。人を眠れなくさせるもの」。

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『陶王子 2万年の旅』

2021年02月11日 | 映画(た行)
『陶王子 2万年の旅』
監督:柴田昌平
ナビゲーション:のん
 
十三・第七藝術劇場にて。
 
「器」の誕生から現代へと至る2万年の旅路をたどったドキュメンタリー。
器の精霊“陶王子(とうおうじ)”がナビゲーターという形を取っています。
その陶王子の声を務めるのはのん
 
最初はすっぽんぽんだった(笑)陶王子が、
陶磁器の進化によって色がつき、衣装に身を包んでゆく姿が面白い。
 
序盤のオーストラリア・アボリジニの話から目が釘付け。
でも彼らは葉っぱがあれば調理できるから器は要らない。
人々が器を求め、使いこなすようになる過程に興味を引かれます。
 
いささかヤジウマ的ではありますが、
いちばん驚いたのはドイツ・マイセンの話。
マイセンの誕生にこんな凄絶な歴史があったとは知りませんでした。
今後はマイセンの器を見るたびに思い出しそうです。
 
器に盛るだけで料理も変わる。
外食の折には料理も器も楽しみたい。

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『劇場版 美少女戦士セーラームーン Eternal 前編』

2021年02月10日 | 映画(は行)
『劇場版 美少女戦士セーラームーン Eternal 前編』
監督:今千秋
声の出演:三石琴乃,金元寿子,佐藤利奈,小清水亜美,伊藤静,福圓美里,
     野島健児,中川翔子,松岡禎丞,渡辺直美,菜々緒他
 
なんばで4本ハシゴの4本目。
TOHOシネマズなんば別館で『森の学校』を観たのち、
なんばパークスシネマへ戻って本作を。
 
『クローゼット』を観たとき、上映開始後30秒で、
観に来たことを激しく後悔しました。めっちゃ怖かったから。
本作も上映開始後30秒で、やはり観に来たことを後悔。
コワかないですよ。でも話にまったくついて行けそうにないんだもの(笑)。
 
だってさぁ、髪型と瞳の色と服装が違う以外、みんな一緒やん。
困ったよ、これは、と思っているうちに睡魔に襲われ。
覚醒してからはなんとか話に乗れましたのでかいつまんでみます。
 
地球と月の征服を企む悪の組織がサーカス団を装って到来。
それを阻止しようとするセーラー戦士たち。
しかし悪の組織の面々は、セーラー戦士たち個々の悩みや迷いを見つけ、
個別に責めて弱体化させようとするのでした。
危うく負けそうになるけど、負けるわけもない(笑)。
 
普通の女子としての夢を語るシーンにはなかなか驚きました。
結婚して家庭を持ちつつ、花屋かケーキ屋を開きたいとか。
神社の跡継ぎの女子には、ほかのメンバーが「養子をもらうのがいいよ」とアドバイス。
結婚願望はまるでないという彼女に、
「婿だと思うからいけない。ただで働いてくれる人が来ると思えば」と言ったり。
いや~、巷の女の子がませたこと言うのはこういう台詞があるからか。
 
後編を観るつもりはなかったのですけれど、
中途半端なところで終わっているから、こりゃ続きも観なあかん!?

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『森の学校』

2021年02月09日 | 映画(ま行)
『森の学校』
監督:西垣吉春
出演:篠田三郎,神崎愛,雪代敬子,久保山知洋,登坂紘光,三浦春馬,小谷力,
小峰玲奈,日向明子,織本順吉, みやなおこ,島木譲二,レツゴー長作他
 
ドリパスというのがありまして、
劇場で観たいな~という作品をネットでリクエストし、
一定数が集まるとそれが叶えられます。
三浦春馬が亡くなったことが関係するのかどうか、
彼が12歳だったときの出演作にリクエストが集まり、上映に至りました。
 
DVD化されているならそれでもいいやと思ったのですが、ない。
ならば逃さず観に行くべし。
なんばで4本ハシゴの3本目、TOHOシネマズなんば別館にて。
 
原作は京大霊長類研究所の元所長・河合隼雄の兄である、
河合雅雄の児童文学『少年動物誌』。
1935年頃(昭和10年代初頭)の丹波篠山が舞台となっていて、
2002(平成14)年の作品とは思えないほど、良い意味で古い。
 
里山が広がるのどかな城下町、丹波篠山。
河合家は両親と6人の男児の8人家族。
父親は歯科医の秀雄(篠田三郎)、それを手伝う母親の静子(神崎愛)。
三男の雅雄(三浦春馬)は腕白なガキ大将ながら病気がち。
学校をひと月休まねばならないこともザラで、
元気な兄弟を見るにつけ劣等感にさいなまれている。
 
ある日、東京から少女が引っ越してくる。
彼女は美代子(小峰玲奈)、祖父の万蔵(織本順吉)がこの村の住人。
万蔵の娘の夫が戦死し、しばらく美代子を預けに来たのだ。
都会育ちの美代子はなかなか打ち解けずに孤立。
そんな彼女も雅雄と自然の中で遊ぶうちに心を開いて……。
 
どうしても三浦春馬に目が行ってしまいます。
大人になってからの彼は特に私のタイプというわけではなかったのですが、
少年のときの彼、実に男前。将来が楽しみになる顔立ち。
 
村の子どもたちの派閥は大きくふたつに分かれていて、
雅雄たちと相対するのは、憲兵隊長の息子を大将とする一団。
1対1の殴り合いになったとき、素手で挑む雅雄。
木刀で顔に切りつける憲兵隊長の息子、サイテー(笑)。
喧嘩に勝った雅雄のことを「何をしてくれるんや」と責める近所の大人たち。
雅雄の婆ちゃんが「年寄りに免じて許してくれ」と言ったとき、
父ちゃんの秀雄が言うことがよかった。
「雅雄の話も聞かず、どちらが悪いのかもわからないままで
勝手に謝るのはよしてくれ」。父親の鑑やな。
 
子ども同士のこと、大人と子どものこと、ご近所づきあい、
そして自然、生きものとの触れ合い方。
いろんなことを学べた気がします。
再び、春馬くんのご冥福を祈りたい。

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